ニューヨーク/ニューヨーク関連情報

アメリカにおける代理出産の現状<前編>

代理出産について取材を重ね『あなたの子宮を貸してください』を執筆した平井美帆さんにインタビュー。

執筆者:溝口 弘恵


不妊の女性が増えている現代

あなたの子宮を貸してください
『あなたの子宮を貸してください』講談社、1,680円(税込)
流産そして子宮外妊娠、その後から私は不妊で悩んだ。結局、日本の実家の近くにあり、不妊治療の権威である田中温院長(セントマザー産婦人科医院)のもとへ通院し、不妊治療の末、3人の子供たちに恵まれることとなった。結婚したら子供ができて当たり前みたいにいわれてる世の中、「お子さんは?」という、なに気ない他人のその言葉が痛かった。だから私は今でも、不妊で悩む人たちの気持ちを理解してるつもりだ。

少子化以前に、現代女性は、すべてが不妊につながるわけではないが、年齢にかかわらず子宮内膜症や子宮筋腫などで、子供を宿しにくくなるような、子宮に問題を抱えてる女性も増えている。

代理出産、日本ではまだ認められていない代理母の存在。アメリカならではの人助けの精神を学ぶと同時に、アメリカの代理出産の現状を、アメリカで代理出産に関するドクターやセラピストそして、実際に代理母となった人や日本人の依頼主などへの取材を通じ、『あなたの子宮を貸してください』を執筆した平井美帆さんから、私の素朴な疑問に回答をいただいた。

美帆さんは、アメリカへ渡り、アメリカの大学を卒業後、NYやLAで生活、日系情報誌USフロントラインの外部ライターを勤めていた経歴をもつ。現在、日本で執筆活動を続けている。平井美帆さんのサイト

アメリカでは不妊治療として代理出産を選択できる

ガイド:
これまでアメリカでは、どのくらいの代理出産が行われてきたのですか?

美帆さん:
アメリカで契約を交わす代理出産(コマーシャル・サロガシー)が始まったのは、1970年代後半です。以降、3万5千件以上の代理出産が行なわれてきたとされています。

1990年後半までは人工授精型代理出産(トラディショナル・サロガシー)が大半を占めいていましたが、生殖補助医療の発展した今では、体外受精型代理出産(ジェステイショナル・サロガシー)が主流になっています。

ガイド:
NYで代理出産はできるのですか?

美帆さん:
現在、ニューヨーク州では代理出産契約は「void」、つまり無効と判断されます。お隣のニュージャージー州では、人工授精型代理出産は禁止されていますが、体外授精型代理出産は無償であれば許可されています。

全米でもっとも代理出産容認の法整備が整っているのはカリフォルニア州です。ちなみに各州の法律は、子どもが生まれた州に依存します。そのため、ニューヨーク州に住んでいる依頼主夫婦が、カリフォルニア州にいる代理母と代理出産契約をすることはあります。

代理母になるための条件とは?

うちの双子が誕生したとき
私の双子が2005年のNYUホスピタルにて、クリスマスに誕生したとき
ガイド:
代理母になる資格は必要なのですか?

美帆さん:
資格と呼ばれるものはないですが、希望すれば誰でも代理母になれるというわけでもありません。例えば、大手の代理出産エージェンシー、CSP(Center for Surrogate Parenting, Inc.)では5つの基本条件を設けています。

1.アメリカの永住権を持ち、アメリカに住んでいること
2.ノンスモーカー
3.21歳~37歳まで
4.経済的に安定していること
5.一人以上、自分の子どもを出産している

これらの条件を満たした代理母立候補者には、対話形式と心理テストの適格審査(スクリーニング)が行なわれています。

アメリカで代理出産の依頼をする日本人の事情については次のページへ。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます