今戸神社の本殿で出迎えてくれた子どもの背丈ほどもある、大きな招き猫 |
世の中にはいろいろな記念日がありますが、9月29日は何の日だかご存じですか?
実は招き猫の日なんです。
9・29が「来(9)る福(2・9)」と読めるところから、1995年に「日本招猫倶楽部」が制定したとのこと。全国各地で「来る招き猫まつり」が行われます。三重県伊勢市では、招き猫を乗せた山車が巡行するとか。
そこで今回は都内の招き猫を訪ねてみることにしました。
福を招いた猫の人形
まずは、<招き猫発祥の地>と看板を掲げる浅草「今戸神社」です。浅草駅からは隅田川と並行に走る江戸通り沿いに歩いて15分ほど。台東区のコミュニティバス「北めぐりん」なら「リバーサイドスポーツセター」で降りてすぐです。
めぐりんについてはコチラ→ 台東区ホームページ
招き猫発祥の地の案内板。新撰組、沖田総司がここで亡くなったという説もある |
招き猫発祥については諸説あるようで、一般には江戸時代末期には在ったのではないかと考えられていますが、確かではありません。その中で、ここ今戸は、人形としての招き猫の原型を作り出した場所だとされています。その説は次のようなものです。
江戸時代の終わり頃、ある老婆がたいそう猫を可愛がっていましたが、貧しさゆえに手放さなければならなくなりました。すると夢に猫が現れ、自分の姿を今戸焼で造りなさい。そうすれば必ず福徳が授かるでしょうと言いました。そこで浅草寺の参道で売り出したところ、評判を呼んだというものです。
今戸焼は、このあたりで16世紀頃から伝わる、素朴さに味のある焼き物です。落語ファンなら「今戸の狐」でおなじみですね。実際、江戸時代には狐や力士を象った土人形が好まれたそうです。
そこ此処に二三軒今戸焼を売る店にわづかな特徴を見るばかり、
何処の場末にもよくあるような低い人家つづきの横丁である。
(永井荷風『すみだ川』)
社務所で拝見した今戸焼を中心とする招き猫のコレクション 右下の蚊遣りブタも今戸焼では人気があるらしい |
江戸時代のこのあたりは料理屋が立ち並び、文人が集うような街だったそうですが、永井荷風が「すみだ川」に記していた時点で、かなり風情は失われていたようです。
一時は30軒があったという今戸焼の窯元も、今は今戸一丁目に<今戸焼白井>一軒が残るのみとなってしまいました。とは言え、今戸神社の招き猫は現在も素朴な「今戸焼」でこしらえたものです。
石造りの狛犬も、今戸焼の職人さんが寄進したものです。
ご縁を招き寄せるペアの猫
今戸神社の招き猫は白(メス)とブチ(オス)のペアで3.000円。職人さんが少ないので値が張ってしまうとのこと。 |
ずらり並んだ招き猫。 こちらの神社が縁結びに御利益あり、ということでオス・メスがペアになっているのも特徴です。 恋愛はもちろん、人との良縁を招きよせてくださいます。ひとつひとつお顔が違いますね。どの招き猫と出会うのか、これもまたご縁なのでしょうね。
聞くところによれば、結婚式を挙げるカップルもコンスタントにいらっしゃるとか。料金はとてもリーズナブル。二人だけで、あるいは親族だけで、 華美にならず、シンプルなお式を望まれる方には、ぴったりの雰囲気です。
神職を務める姉妹のお姉さんがイラストレーターということもあり、絵馬もキュート |
この日は人力車で訪れていたカップルを見かけましたが(雷門前からは8000円前後)、オプションとしてお式に人力車プランを 追加することもできるようです。これから結婚を考えているカップルはもちろん、煮え切らないお二人も、一度、今戸に足を運び、愛を確かめてはいかが?