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海外移住する心構えなくして住めないってホント? 沖縄で暮らしたらこうなった…(4ページ目)

沖縄移住が一種のブームです。周囲にも日本中から移住してきた方々がいます。沖縄移住って何なのか。本土とは何が違うのか。私自身の移住体験をお話します。少しは参考になるでしょうか。

執筆者:鈴木 雅子

【移住後のとまどい】

移住した当初はミスマッチばかりです。ウチナーンチュとのペースが全く合わないんですね。「この人たちは、なんでこんなに無駄なことをするのか」と…。

何かをする場合、私たちは常に時間当たりの効率を考えてしまいます。こんなことがありました。

移住して間もない女性が洗濯機を買いに行こうとしたら、大家さんが車で連れて行くとのこと。2人は5時間もかけて電気店を何店舗も廻り、安いものが買えたと大家さんは得意顔

一方の彼女はグッタリしています。あとで聞くと「最初の店の商品より2000円安かった」そうで、彼女の休日の貴重な5時間が、その洗濯機によって失われたと意見が一致しました。

しかも大家さんは、そのために仕事をサボっています。2000円のために、ずいぶんな損をしたわけで、ナイチャーとしては非常に心苦しくなります。

このようなケースはよく見聞きします。今では、時間を金銭換算してしまうクセがついている私たちの考え方にも問題があるのだと思うようになりましたが…。

人は、ついつい自分の価値観が正しいと思ってしまいがちです。いろんな考え方、生き方があることを認められないんですね。移住当初の私もそうでした。

ウチナーンチュに面と向かって言われたことがあります。「何をそんなに急ぐのか」「早口でまくしたてられても、アンタが何を言いたいのか分からん」と…。そして今、今度は私が、それを本土から来た人に感じています。

この間、東京からラジオ番組の関係者がおいでになりました。沖縄の音楽業界についてリサーチされているとのこと。女性です。働き盛りの30代。

口角泡を飛ばす勢いで、矢継ぎ早に質問をたたみかけてきます。実を言うと、彼女の質問についていくのが大変でした。

そして、自分が移住した当初もきっとこんな調子だったんだなと、ちょっと可笑しくなりました。なにしろ、私自身の今のリズムは、すっかり島のテンポになっています。

「何をあなた、そんなに騒いでるのよ。あなたのやってる仕事が世の中から消えても、誰も困ることはないでしょうに。もう少しリラックスして、自分自身について考えてみてはいかが?」

口には出しませんでしたが、私の気持はこうでした。

以前は、島酒を飲みながらのゆんたくが苦痛だったのは確か。ウチナーンチュとぶつかったのも事実。それがある時、急に吹っ切れた。

国道を走っていました。とってもいい天気です。目の前に真っ青な空と白い雲。遠くには水平線が広がっています。

「ワー、こんな青い空の下にいるなんて、これってスゴく幸せなことかもしれないなぁ

うーんとね、人間って何だろうって感じでした。しょせんはちっぽけな生き物に過ぎないわけで、こんなスゴい自然に逆らったって勝てないぞ、そんな自然と向き合いながら生きている。すごいなぁって…。

実に単純なんですけど、大きな空をゆっくり眺めるなんていう経験があまりなかったわけです。

それはもちろん、自然環境の問題だけでなく、自分の精神的ゆとりの有無に起因しているんですよね。ウチナーンチュとぶつかりながらも、いつのまにかウチナー式のペースに馴染んできていたのだと思います。
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