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猫の多発性嚢胞腎(PKD)

腎臓に嚢胞(嚢胞液という液体が詰まっている袋)がたくさんできる先天性腎疾患です。猫では、常染色体優性遺伝:家族性の遺伝疾患であるとされています。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

ワカバちゃん
ワカバちゃん
友人宅のワカバちゃんは2002年4月17日生まれ、今年4歳のアメリカンショートヘアー、不妊手術済みです。

生後1歳過ぎた頃、ワカバちゃんの姉妹猫を不妊手術のため病院に連れて行ったところ、多発性嚢胞腎(PKD)であることがわかりました。すぐにワカバちゃんも検査を受け同じく多発性嚢胞腎(PKD)と診断されました。
ワカバちゃんは4頭で生まれましたが、1頭は死産。残った3頭はすべて女の子でした。

猫の子宮は左右に2つありますが、PKDと診断された2頭は同じ側の子宮に入っていて、別の子宮に入っていた1頭は多発性嚢胞腎(PKD)ではありませんでした。

多発性嚢胞腎(PKD)とは

腎臓に嚢胞(嚢胞液という液体が詰まっている袋)がたくさんできる先天性腎疾患です。
初期には無症状ですが、嚢胞が増えて大きくなっていくことで正常な腎臓機能に過大な負担がかかり、腎機能障害が起きていきます。

多発性嚢胞腎(PKD)と診断された場合は、腎臓機能の負担を少なくするために、日頃から水をたくさん飲ませ、食餌は療法食の低蛋白食を食べさせます。早い時期に見つけることができれば、食餌療法はかなり有効です。が、徐々に進行しますので、日頃から猫の健康状態に気を配る必要があります。
※ただし、低蛋白食は栄養評価の問題で、子猫にはあまり勧められません。
生後1歳を過ぎてから療法食に切り替える方が良いでしょう。

多発性嚢胞腎(PKD)は常染色体優性遺伝

猫では、常染色体優性遺伝:簡単にいうと両親猫のどちらかがこの遺伝子を持っている間に生まれた子猫の2/3が発病する家族性の遺伝疾患であるとされています。
特にペルシャ、エキゾチックショートヘアー(ペルシャの短毛種)においてその遺伝性が知られており、ほぼ半数の猫がこの病気を持っているという研究発表もあります。
この病気の診断は、子猫=生後1~2ヶ月齢から可能ですが、生後10ヶ月以降ですと98%正確に診断することができます。
経験豊富な獣医師がエコー(超音波診断装置)で確認します。
遺伝性であることが証明されているので、この病気がわかった場合は、その猫を絶対に交配に使ってはいけません。
※ワカバちゃんの場合、3頭姉妹の2頭が多発性嚢胞腎(PKD)でしたが、その後検査を行った両親猫は健康な腎臓を持っていました。
このように、両親猫が健康な腎臓であっても発病猫が生まれる場合があります。
今回ワカバちゃんたちの発病がわかったことで、ワカバちゃんのママさん(オーナーさん)は、ワカバちゃんのお母さん猫の不妊手術を行い、繁殖をストップしました。

ワカバちゃんはキレイ好き♪
ワカバちゃんはキレイ好き♪

続いて、ワカバちゃんの猫ドック体験記です→

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