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珍しい犬種シリーズ「ボーダーテリア」の巻(3ページ目)

シリーズ「珍しい犬種に会いたい」、今回はボーダーテリア。家畜をキツネから守る番犬として飼われていたこの犬は、自立心に富み、自己主張の強い犬。そんなちょっと気むずかしいボーダーの魅力に迫ります!

執筆者:坂本 光里

犬たちと一体となることの素晴らしさ

そんな今泉さんは今、3頭と一緒にアジリティを楽しまれているそうです。
「最初にアジリティの訓練を始めたとき、トレーナーさんから『この子は何が一番好きですか?』と聞かれて、はたと考え込んでしまったんです。その方は訓練で結果を出すためには、その子に意欲を持たせるようなモチベーションとなる何かを用意した方がよいという意味で言われたんですが、ケイトにはそれがない。おやつもおもちゃも好きだけど、テンションが低い時には見向きもしなくなる。褒められても抱っこされてもさほど嬉しそうでもない。今にして思えば、ケイトにとっての一番のモチベーションは、“仕事をするための意味”だったように思います」(今泉さん)

カラダ全身のバネを使ってジャ~ンプ!(photo by imaizumi)

そのことを今泉さんが感じ始めた頃から、ケイトちゃんは次第に楽しそうにアジリティに参加するようになったとか。今泉さんにとってのアジリティの目的は、大会で賞をとることではなく、それに向けての練習段階で犬たちとうまくコミュニケーションすることにあるそうです。
「練習をしていると、犬たちの新しい一面が見えて、ああこんな顔をすることがあるんだ~と思える瞬間があったり、嬉しい発見があったりするんです。それがすごく楽しくて、本番はいってみればオマケみたいなものなんです」(今泉さん)

機敏な動きでスラロームもこなすケイト(photo by imaizumi)

彼女はミニシュナのジャニスちゃんとは、トレーニングを通じて何度か一体化する瞬間を味わったそうですが、ケイトちゃんとは残念ながらまだそこまでは至ってないとのこと。でも続けていればいつかそうした日がやって来ることでしょうね。
「私の中にまだ、ケイトは油断ならない子だという気持ちがあるのでしょうね。いつ何をしでかすかわからないと……(笑)」

ボーダーテリアらしさを壊さずに飼う

今泉さんの言葉を裏付けるのは、ケイトちゃんの猫に対する異様なまでの好奇心。狩猟が得意なワーキングテリアなのですから当たり前の話なのですが、彼女は毎日、今泉家の庭先を猫が通る時間を覚えていて、その時間にたまたま今泉さんが窓を開け網戸にしていると、それをガリガリ引き破って庭先に飛び出してしまうのだとか。そのおかげで今年の夏は、何度か網戸を張り替えられたそうです。
「狩猟犬の本能が騒ぐんでしょうね。いつか猫をくわえて帰ってきたらどうしようと気を揉んでいます(笑)。お散歩のときも、停まっているクルマの下は必ずチェックしますし、一度でも猫を見かけた場所はしっかり覚えてますから」(今泉さん)

猫などの小動物に対する好奇心は犬一倍、
おまえは一体なにやつじゃ~!

ただ、今泉さんはそんなボーダーテリアの気質を変えることなく、そのままボーダーテリアらしく飼っていきたいと思われているとか。
「可愛がるだけのいい子を飼いたいなら、なにもわざわざボーダーを探す必要なんてなかったわけです。何年も待ってようやく出逢えたボーダーだからこそ、彼女の持っている狩猟犬としての素質や能力を、できるだけ生かして飼ってあげたい。そのためにアジリティに出て思い切り走らせてあげたいし、月に一度のストリッピングも欠かさないようにしていきたいと思っています」(今泉さん)

アメリカでは今、より訓練性能が高く家庭犬として飼いやすいボーダーテリアに改良しようと、他の犬種との交配をすすめたりする動きがあるそうですが、彼女もわたしもこれに対してはNO! それはボーダーテリアという原種に近い犬の魅力を壊してしまうような気がします。そうまでしてこの難しい犬種を飼う必要はないと思うのです。

ケイト~、ほらいくよ!

オットット…
キャ~チッ!

もっとやろぉ~!
ハイ、ボール♪

どんな環境にも適応するカウチポテトドッグ

パートナーシップが芽生え始めた
今泉さんとケイトちゃん最後に今泉さんは、こんな話をされていました。
「ボーダーテリアって、本当は環境に適応する能力の高い犬なんですよ。カウチポテトドッグという呼ばれ方をすることがあるんですけど、それは飼い主がポテトチップスを食べながらテレビを見ている傍らでいつまでも大人しく待っていられるという意味で、本当はとても飼い主のライフスタイルに順応しやすい。たとえば忙しい人が留守番を言いつけて出かけてしまっても、しっかり番犬を全うできる犬だと思います」(今泉さん)
ようはその犬種のことを飼い主がよく理解して、その子の生きがいとなる仕事が何なのかを教えてあげるということですね。

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今はまだ、ボーダーテリアの本家であるイギリスのブリーダーから直接子犬を譲り受けるには、日本という国の飼育環境が整っていないのが現状。現地でこの犬を入手された日本人の飼い主さんが日本にボーダーを連れ帰るときにも、不妊手術を促されることもあるそうです。
そういうことから純粋にスタンダードなボーダーテリアを日本国内で入手するのはなかなか難しいわけですが、いつかはそうした状況を乗り越えて、本物のボーダーテリアを日本に根づかせてくれるブリーダーさんの出現に期待したいものですね。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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