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上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅・後編(6ページ目)

連続した5日間、JR東日本とJR北海道の普通列車が乗り放題の「北海道&東日本パス」。青春18きっぷでは乗れない路線にも乗れるこの切符で、上野から札幌まで、鈍行+急行を乗り継いで行ってみた旅行記の完結編。

執筆者:高橋 良算

怪しい乗客?そして青函トンネル通過
青森22:45→1:13函館

急行はまなす車内
今夜の宿はこんな座席
通路を挟んで隣に座っている神経質そうな感じの男の動きが怪しい。

怪しいといっても別に何か盗むとかそういうことではなく、動作が落ち着かないのだ。夜行列車で落ち着かない客の近くになることほど嫌なことはない。

やたらとコンビニのビニール袋をたくさん持っていて、これがいちいちガサガサと音を立てる。カバンの中の小分け袋にもこのビニール袋を使っているようで、もう何かにつけてガサガサである。車内が静かな夜行列車だけに、些細な音も気になるのだ。

しばらくすると歯ブラシを持って洗面所のほうへ行ったから、これでもう寝るのだな、と思っていると、戻ってくるなり缶ビールやらつまみやら弁当やらを出して飲食を始めた。わけがわからない。

しかしまあ、食料もつきればそのうちおとなしくなるだろうから、カリカリするのはやめて気にしないことにする。


青函トンネルを走行中
これを抜ければ北海道だ(青函トンネル内)
時々道路の街灯だけが見える闇を走る。

やがてトンネルが始まり、その何本目かのトンネルが青函トンネルである。もう何度も通っているから、夜でも線路の音が変わったことでそれとわかるし、入口にはそのことを知らせる照明もある。

0時15分頃、地上へ出た。ここはもう北海道だ。もちろん暗いばかりで何も見えない。

しばらくすると、駅で停まった。ホームの柱に「きこない」とある。木古内駅で運転停車らしい。ホームの反対側には、貨物列車がじっと息をひそめている。

すると、寝台特急「北斗星」4号がすれ違って行った。そういえば今朝、新白河駅の手前でも同じ北斗星4号とすれ違った。今のは、その24時間後に札幌を発車した列車なわけだから、どれほど長い旅なのかがわかるだろう。

夜行列車明けの倦怠感、そして札幌へ
函館1:23→6:07札幌

函館駅
深夜の駅で機関車を付け替え(函館)
深夜の函館駅で、10分停車する。ここは行き止まり式の駅なので、発車する時は進行方向が反対になる。急行「はまなす」には、今まで最後尾だった側に、新しい機関車が連結される。

ホームへ出てみた。やはり空気はヒンヤリしていて、青森と同じくらいの気温のようだ。

やがて向こうからブルーに塗られた2両のディーゼル機関車がそろそろと近付いてきて、ピュイッ、という汽笛一声、客車に連結された。こんな調子で夜行列車が一晩中やってくるから、函館駅は眠れない。

向きを変えた列車は、1時23分、札幌へ向けて再び走り出した。

やがていつの間にか眠った。もっともこれは夜行列車だから、眠るにこしたことはない。隣のガサガサ男も、とうに眠りこけている。



目が覚めるとどこかの海辺を走っていた。まだ暗く、しかも霧に包まれてほとんど見通しはきかないが、伊達紋別のあたりだったかもしれない。

再びうとうとしながら列車は走り、東室蘭駅の手前で日の出を迎えた。夏の北海道は日の出が早い。相変わらず靄がかかっていて太陽の輪郭はぼやけていた。

眠っているのか起きているのか、頭の中もぼやけているうちに、苫小牧、南千歳と過ぎ、だんだんと市街地に入る。特徴ある家々の屋根の形を見ると、北海道に来たのだ、という感慨が湧いてくる。

上野~札幌1,100kmの旅、完遂!

定刻の6時07分、急行列車は、あっさりと札幌駅に到着した。

札幌駅
1,100kmの旅の終わり、札幌に到着
昨日の朝、上野を出てから1,100キロ、約24時間にわたる旅が終わった。思ったほど疲労感はない。いくぶん気持ちが高揚しているからだろう。達成感も少しはある。

ディーゼルエンジンの排気ガスの匂いがこもるホームに降りる。おかしいようだが、私はいつもこの匂いで札幌を実感する。夜行列車明けの気怠い体を、朝の空気が引き締めてくれる。

しばし感慨深げに急行「はまなす」のブルーの車体を眺めていると、突然声をかけられた。見知らぬ男性である。聞けば、何でも盛岡からずっと同じ列車だったそうだ。

どうして気付いたのかと聞くと、「ずいぶん熱心に写真を撮ってらっしゃいましたから」と言う。こちらはまったく気付いていなかったが、どうやら色んなところで写真を撮りながらウロウロしていたのが、目に付いていたらしい。

彼は同じく「北海道&東日本パス」を持っていた。これから稚内まで行くという。稚内に着くのは夕方の17時頃だ。お互いにこの先の旅の無事を祈りながら別れた。


さあ、こちらもゆっくりしてはいられない。
何しろ切符はまだ3日分残っている。

1,100kmの旅は終わっても、線路はまだ先へ先へと続いていた。



[関連ガイド記事]
上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅・前編

「上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅」全行程表
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