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上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅・後編

連続した5日間、JR東日本とJR北海道の普通列車が乗り放題の「北海道&東日本パス」。青春18きっぷでは乗れない路線にも乗れるこの切符で、上野から札幌まで、鈍行+急行を乗り継いで行ってみた旅行記の完結編。

執筆者:高橋 良算


連続した5日間、JR東日本とJR北海道の普通列車が乗り放題の「北海道&東日本パス」で、上野から札幌まで、鈍行+急行を乗り継いで行ってみた旅行記の後編(仙台~札幌)。

▼前編(上野~仙台)はこちら
上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅・前編

※この旅の全行程表はこちら




仙台と札幌は、どことなく似ていると思う。

仙台駅
人波が途切れない仙台駅
それは、歴史とか文化とかそういう高次元での話ではない。その街に暮らしたこともない旅行者の、勝手なイメージでしかないのだが、なんとなくそう思っている。

東京は、それなりに歴史もあるし、大都会ならではの文化的刺激もたくさんある。住んでいて不便を感じたこともまったくと言ってよいほどない。だから、決して東京が嫌いなわけではない。

ただ、東京は大きすぎるのだ。

問題は、人の数というより人口密度なのであろう。狭いところに人が集まりすぎなのである。それが妙な圧迫感になっていて、はやくそこから抜け出さねばならない、と思わせる。

たぶん、仙台とか札幌は「人口密度が低い大都市」なのではないかと思う。人との距離が適度に保たれているような気がする。だから落ち着くのだ。札幌の街など、歩いているだけで幸せな気分になる。

もちろん、地下鉄の混雑などはどこも同じだ。ただ、街をぶらぶらと歩いているかぎり、都会というのはこのくらいの規模がちょうどよいのではないか、と思わせる。


仙台駅
無事に乗り継ぎを再開(仙台駅)
だから、今回も仙台に着いたとたん、なんだか気がゆるんでしまったのだった。昼食をとろうと街に出るつもりだったが、結局駅ビルの中にあるファーストフード店に入った。

もう乗り継ぎもやめてしまおうかと思ったが、しかし、やめてほかに行くあてもない。やはり予定通り北海道を目指そうと思いなおした。

最初のスケジュールで乗る予定だった列車は発車してしまったが、幸い次の列車でも問題ない。乗り継ぎに余裕を持たせておいたのが、こんなところで役に立った。

松島駅で途中下車、駅舎を眺めて気分転換
仙台13:22→13:46松島
松島14:04→15:22一ノ関

「ほらほら、海、海!」

ロングシートの向かい側に座っていた、中年女性4人組の一人が声を上げ、仲間が一斉に腰を浮かせる。

内陸部ばかりを走る東北本線でも、海が見える区間がわずかにある。塩釜~松島間の松島湾はその一つで、あとは青森県に入ってからだ。

ここでは日本三景松島の片鱗をほんのわずかだが眺めることができる。一瞬のことなので、注意していないと見逃してしまうだろう。この4人組も、どうやら気付いたのが遅かったようで、「あら、もう見えないのかしら」と残念がっていた。

この列車は途中の小牛田(こごた)駅止まりである。今日中に青森に着くには、さらにその次の一ノ関行でよい。

松島駅
松島駅の大きな駅舎を堪能
このまま行っても何もない小牛田で時間をつぶさなくてはならないから、途中の松島駅に立ち寄ることにした。20分の待ち時間の間に、松島駅の大きな木造駅舎を眺めた。これはよい気分転換になった。

次の一ノ関行の列車は6両編成で、これもロングシートだったが空いていたので座れた。しかし小牛田駅で後ろの4両を切り離し、その先は2両編成になるという。仙台圏はここまでですから、と言わんばかりだ。

後ろの車両からぞろぞろと乗り移ってきて、車内は少し立ち客が出るくらいの混雑になった。幸い私は先頭車に乗っていたので座ったままでいられたけれど、こういうことがあるから油断はできない。

2両と身軽になったワンマン列車は、宮城の米どころを快走し、今年3月に廃止になったくりはら田園鉄道の線路跡が見える石越駅を過ぎると、岩手県に入った。


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