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上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅・後編(4ページ目)

連続した5日間、JR東日本とJR北海道の普通列車が乗り放題の「北海道&東日本パス」。青春18きっぷでは乗れない路線にも乗れるこの切符で、上野から札幌まで、鈍行+急行を乗り継いで行ってみた旅行記の完結編。

執筆者:高橋 良算

啄木の故郷に、ふるさとの山を望む
盛岡17:04→18:58八戸

IGRいわて銀河鉄道車内
混んでくるとただの通勤電車だ(IGRいわて銀河鉄道)
夕方の帰宅時間帯だから、車内は混雑していてもう座るところはなかった。

この車両はIGRいわて銀河鉄道の車両だが、さっきまで乗っていたJRの車両の塗装を変えただけである。2両編成のワンマン列車、というのも同じだ。

部活帰りの男子高校生たちに混じってまた最後尾のスペースに収まった。さっき買った駅弁が早速邪魔になっていて、彼らの一人が横目でそれを見る。


汽車の窓 はるかに北にふるさとの山見え来れば 襟を正すも

もうそろそろ車窓左側には、岩手山が見えてきてもよいのだが、あいにく新幹線の高架が視界を遮っている。どこまでも憎たらしい新幹線だ。

そして岩手山が見えぬうちに、渋民駅に着いてしまった。上野から旅を共にしてきた啄木ともここでお別れ、という気分になる。もっとも、啄木は北海道も彷徨っているから、この先もまた出会うことがあるかもしれない。

その渋民駅と、JR花輪線が分岐する好摩(こうま)駅の間あたりが、この旅の中間地点になる。もうだいぶ来たような気がするが、それでもまだ半分なのだ。

好摩駅を出た頃には、だいぶ空席ができていた。だが、岩手山を見るまでは座れない、とばかりにがんばっていたら、その先でようやく姿を見せてくれた。もうずいぶん小さくなっていたが、やはりよい山である。

岩手山
岩手山がようやく姿を見せてくれた(好摩~岩手川口間)

田んぼの片隅で野焼きをしている光景を何度か見た。今はそういう時期なのか、夕方だからなのかわからないが、その煙に列車が突っ込む度に、懐かしく香ばしい香りが車内に漂う。

目時駅
青森県に入り、青い森鉄道にバトンタッチ(目時)
新幹線の高架が再び近付くと二戸駅。その先の金田一温泉駅を過ぎてトンネルを抜けると、青森県に入って目時(めとき)駅に着く。

ここからは青い森鉄道で、また別会社の路線だが、特に変わったことはない。この列車はそのまま八戸まで行く。

青森へ、最後の列車もロングシート
八戸19:12→20:43青森

八戸駅
夕焼けが空を赤く染める(八戸)

西の空が真っ赤に染まり、長い一日が暮れようとしていた。

旅に出ている時に迎えるこの時間帯は、何ともいえず好きだ。ほっとするような、寂しいような、胸のすくような、そんな複雑な気持ちになる。

八戸は今のところ東北新幹線の終着駅だから、青森までは在来線の特急列車も走っている。ちょうど新幹線が到着したようで、連絡口は乗り換え客で混雑していた。

いよいよ東北本線最後の列車である。

八戸駅
最後の青森行もロングシート(八戸)
ここから再びJRになるが、やはり車両は代わり映えしない。オールロングシート車両2両編成のワンマン列車だ。

結局、仙台から青森まではすべてロングシートということになる。乗車時間は7時間近い。乗り継ぎはあるものの、旅行者にとってこれではあんまりである。しかし、もういいかげん文句を言う気にもならないから、おとなしく乗る。今度は空いていて、すぐに座れた。

八戸を発車する頃にはすっかり暗くなり、外の景色は何も見えなくなった。景色が見えなければもう何もすることはない。本でも読もうかと思っているうちに眠ってしまった。

途中、三沢駅、浅虫温泉駅に停まったのを何となく覚えているだけで、青森までの2時間、ほとんど眠っていた。列車内ではあまり眠れない性質のはずなのだが、これはどうしたことだろう。だから読者の皆さんには申し訳ないけれど、その間何もレポートすることがない。

頭がボーッとした中、列車はゆっくりと青森駅に到着した。

上野から735.6km、10本の列車を乗り継いでやってきた青森の空気は、ヒンヤリとしていた。


青森から夜汽車に乗って、いざ北海道へ! >>
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