防犯/防犯小説

ミセスの危機管理ナビ~大人が不安な夏休み(3ページ目)

春彦の姪・紗希の友だちがメル友に写真を送ると言っているらしい。麻季子と春彦はそれを止めさせようと、色々な事件例などを挙げて紗希に怖さを教えようとする。さらに大人の危険についても。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

プチ家出

少女は街に…
少女は街に…
紗希に聞こえるわけもないが、声をひそめて麻季子が言った。

「ねえ、美里ちゃんって子、本当はもっと危ないことをするところだったんじゃないかしら。男の人と外で会う約束をしたとか」
「どうかね。まだ13歳だぞ」
「何言ってるのよ。例の渋谷の事件は小学生だったわよ? 男に車に乗せられて遠くまで連れて行かれた子もそうじゃなかった? それに前にテレビでやっていたけど、渋谷で若い女の子に聞くと、初体験年齢は12歳半だか13歳って子が一番多いんですって」
「うん? まあ、それは渋谷だからだろ。統計は条件が違うと結果も違う。とはいえ娘を持つ親には恐ろしい話だろうな」

「カラオケに付き合ってお小遣いをもらったり、着ていた下着を売ったり、それこそ援助交際したりと、まあ、誘惑と言うか危険が多すぎるわよねぇ。絶対に大人がいけないのよ。子どもは知らないことが多いんだから、分別のある大人は子どもを守るべき立場なんだから。でも、世の中には悪い人がたくさんいるのよね」
「まあ、若い女の子が好きな男ってのもいるだろ。法律で禁止しなくてはならないくらい」
「そうよね。ホント、女の子は危ないわ。あ、そういえば、上司の方の娘さんがどうしたの?」

突然、麻季子が思い出して春彦の腕を軽くたたいた。

「ああ。家出をしたらしいんだ。誰にでも言えることじゃないが、酒を飲んだときにポロッと漏らしてね」
「えっ? 大変じゃない。何年生の子?」
「高一。5月ごろから学校に行かなくなって、夏前には家を出てしまったらしい。まあ、家出とは言っても携帯電話は通じるらしく、ごくたまには家にも帰るらしいが」
「プチ家出ってやつね」
「もう女の子なんて高校生にもなれば親は何も出来ないみたいだな」

「違うわよ。一つのケースだけで全体のことは言えないわ。やっぱりその家庭ごとに違うし、親次第でしょう。いつもならあなたのほうが公平に見るのに女の子のことだと違うのね」
「うーむ。まあ、うちは娘がいないせいかな。でも話を聞いているといなくてよかったとも言えるが。だって、紗希よりわずか3歳上なだけで家を出ちゃうんだぜ? もちろん、男だって絡むだろ。それが信じられないんだ」
「そういう若い女の子を毒牙にかけようと思っている人が世間にはたくさんいるしね」

「まあ、男が悪いとも言えるが。しかし、子ども一人守れない親はどうなんだ」
「原因は一つじゃないだろうし、親からは突然のように思えても子どもからしたらいろんな理由が積み重なって爆発した結果かもしれないわよね。でも、責任は家庭や親にあるでしょうね。だって、子どもなんだから」
「まあね。ま、実はその上司も不倫とかで決して奥さんとうまくいってるとは言えないようだ」
「子どもは敏感だもの。親のことをよく観察してるわよ。親は子どもを甘く見てどうせ分からないだろうと思ってたりするのかもしれないけど。子どもがかわいそうよね」

眉をひそめながら、麻季子は湯呑み茶碗を手のひらでくるくると無意識に回していた。

「まあ、特に女の子は携帯電話なんか持たせるとろくなことはないと思うよな。といってもこれだけ普及してしまってはもうしょうがないか」
「女の子のほうが携帯は欲しがるんじゃない? それに、携帯を持った女の子がみんな危ない使い方をするわけじゃないでしょ?」
「そりゃそうだ」

春彦は麻季子の決して片寄らず、感情的にならないニュートラルな思考にいつもひそかに感心している。


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