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職人の国の“世界一安全”なエアライン(5ページ目)

安全性と技術力の高さゆえに、世界中の利用者から厚い信頼を獲得しているルフトハンザ ドイツ航空。伝統的な職人の国が育んだこの“世界一安全”なエアラインの舞台裏を探るため、ドイツ・ハンブルグに飛びました。

執筆者:秋本 俊二

自分自身のブラッシュアップに最大の努力


ウェスファルさんの案内で機体やエンジンのメンテナンス現場をひと通り歩いてみて、ハンブルグに来る前に日本人CAの加藤さんが言っていたことが改めて記憶によみがえりました。“安全ランキング世界一”という称号も、当たり前の仕事をしてきた結果にすぎない──整備士たちはそうクールに受け止めている、という話です。

「安全面での評価は、それを目標に努力を続けてきた現場の人たちにとっては当然という気持ちもあるのでしょう。彼らなりのプライドの表れなのだとも思います。それに“No.1”の評価を手放しで喜べないのは、具体的なランキングが出てしまった以上、その地位をこれからもずっとキープしていかなければならないというプレッシャーもあるのかも知れません」

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トレーニングセンターでは社員たちが自分自身のブラッシュアップ。

加藤さんはそんな見方もしていました。その通りだろうと、私も思います。一度手にした“No.1”の称号を絶対に手放さないために、社員たちは自分自身のブラッシュアップにも相当な努力を傾けている、今回の現場取材ではそんな実態も垣間見ることができました。ルフトハンザテクニックの本部内には技術スクールが置かれ、整備士たちはそこで率先して新しい技術や知識を学んでいます。

サービスでも“個性派”をめざして


ルフトハンザテクニックでの取材を終え、ハンブルグから再びフランクフルトへ。帰国の日の朝、これから関西行きのフライトに乗務するという加藤さんにもう一度会うことができました。

機体メンテナンスの現場で見たこと、聞いたことについて、私は加藤さんに報告しました。そうしてしばらく意見を交換するうちに、一つ気がついたことがあります。それは、自分自身のブラッシュアップに取り組んでいるのは技術の現場に限ったことではない、ということ。運航オペレーションのセクションでも、空港のグランドサービスの現場でも、スタッフたちはそれぞれに「自分たちの仕事」をまっとうするため自らに磨きをかけている。もちろん、日々の乗務を通じてサービス向上に努める加藤さんたちも例外ではありません。

「客室乗務に直接必要な知識だけではなく、異文化や医療・健康、ビジネスなど他の分野の知識や技術を学びたいと思う社員に対しても、ルフトハンザはとても協力的です」と加藤さんは言います。「フライトを続けながら大学で医学を学んで資格をとり、医者と乗務員の仕事を両立している同僚もいます。上空ではいつ何が起こるかわかりませんので、彼といっしょのフライトのときはとても心強いですね。この恵まれた環境を生かし、私も常に新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。そういう努力は必ず、どこかで会社への評価と信頼にもつながっていくはずですから」

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【左】本社隣の乗務員訓練施設。【右】サービスでも個性派をめざす。

私は成田に向けてフランクフルト空港を飛び立ちました。ちょうど同じ時間帯に、加藤さんは関西線の乗務についているはずです。「新しいチャレンジ」の具体的な内容までは口にしませんでしたが、職人の国が育んだ“世界一安全”なエアラインで、彼女たちは「サービス」の面でもルフトハンザの個性を打ち出そうと意欲的に何か異分野のテーマに取り組んでいるのでしょう。いずれ彼女たち乗務員の活躍にもスポットを当て、サービスという観点からも改めてルフトハンザをレポートしてみたいと考えています。


【関連リンク】
ルフトハンザ/日本語サイト
■ガイド記事「Airline Report : ルフトハンザ ドイツ航空
■All About「ドイツ」サイト
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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