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「コクピット・アート」への招待(5ページ目)

高度1万フィート。まさにコクピットでしか出会えない雄大な風景が、キャンバスで幻想的な世界に生まれ変わります。絵筆をとるのはJALの現役フライトエンジニア、上田哲也さん。その素顔と作品を紹介します。

執筆者:秋本 俊二

Web作品展を終えて──“描く”ことと“飛ぶ”こと


フライトを終えた上田さん
整備士として働きながら夜間大学に通って猛勉強を続け、念願の「空の仕事」を手に入れた
飛行機に憧れ、絵を描くことも大好きだったという少年時代。「航空大学に進学してパイロットに」という夢は家庭の事情で断念したものの、しかし飛行機に関わる仕事に就きたいという気持ちは変わらず、上田さんは高校を卒業後メカニックとしてJALに入社しました。その後、整備の現場で働きながら夜間大学に通って猛勉強を続け、社内のフライトエンジニア登用試験に合格し「空の仕事」を手に入れます。

「フライトで海外へ行くと、ステイ先で時間がありますでしょう。その時間を使ってスケッチを始めるようになりました」

本格的に絵を描くようになったきっかけを、上田さんはそう話します。その後、1996年には優れた風景画に与えられる笹倉鉄平賞を受賞し、この頃から海外での活動も視野に入れ「リチャード・カイ」というアーティストネームを使用。2005年夏には新宿・伊勢丹で念願の個展を開きました。

同じ高さから見た同じ風景でも、毎回空の色などは違います。「ですから、創作活動はエンドレス。いい作品を描くためにも、もっともっと世界の空を飛び、感動的な風景に出会いたい」と上田さんが言うのですが──。

コクピットの上田さん
「絵を描くことと同時に、まず私の原点である“空を飛ぶ”という夢も完遂したい」と話す上田さん
“ハイテクジャンボ”と言われるボーイング747-400の登場以来、コクピットには機長と副操縦士のみの「2人乗務」体制が主流になりました。上田さんの乗務は最近はカーゴ(貨物)便が多く、今年7月までの約1年間はグループ会社の日本アジア航空に出向して台北線などにも乗務しましたが、フライトエンジニアとしての仕事は確実に減りつつあるといいます。

「今後、ですか? さあ、先のことはまだわかりません。海外の航空会社でフライトエンジニアとしての仕事があれば、そこに移るかも知れませんね。昨今は2名乗務が主流になっていますが、私自身はいまでもフライトエンジニアは必要だと思っています。絵を描くことの前に、まず私の原点である“空を飛ぶ”という夢を完遂したいんですよ」



◇お知らせ◇
8月24日から9月12日までの約3週間、成田空港第1ターミナル本館5階「NAAアートギャラリー」で上田さんの「コクピット・アート展」が開催されます。計20点近い作品が展示される予定ですので、成田空港へお出かけの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。入場無料です。


【関連リンク】
JAL公式サイト
JAA(日本アジア航空)公式サイト
成田空港公式サイト
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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