人間関係

自分の手料理に誇りを持っていた主婦、息子に「ファストフードが食べたい」と言われて焦燥感

「主婦であり母である」ことに自身の存在意義を持つ女性は、少なくない。しかし、健康は「手作りの食事で」守るとかたくなに考えていると、いつしか家族にとって窮屈な存在になってしまうのかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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家族のために、こんなに頑張って食事を作っているのに……

家族のために、こんなに頑張って食事を作っているのに……

2023年の総務省統計局のまとめによれば、15歳~64歳の女性の就業率はパートも含め75パーセントを超える

主婦である女性たちの中には働きたい人もいれば、そうではないが働かざるを得ない人たちもいるのだろう。男は外で稼ぎ、女は家を守る時代ではなくなっている。

とはいえ、「主婦であり母である」ことに自身の存在意義を持つ女性も少なくはない。 

家族に喜んでもらうのが私の生きがい

「たとえ仕事をしていても、家族の笑顔を見るのが私の楽しみだし、家族の健康を守るのが私の仕事だと思っていました」

週5日、パートで働くエリさん(45歳)には、14歳と12歳の息子がいる。夫は口うるさいことは言わないタイプで、エリさんにはいつも「無理するなよ」と声をかけてくれるが、エリさん自身が、自分がいなければこの家庭は回らないと信じていた。

「夫も子どもたちも、私の料理が大好きなんです。夫は外で会食があっても、適当に食べて帰宅後にもう一度食べ直す。息子は友だちの家に泊まりに行って帰ってくると、『やっぱりお母さんのごはんが美味しい』と言ってくれる。そういうのが私の日々の生活のモチベーションだったんです」

「基本的には全部手作り」主義

だから土日には1週間の献立を考えて買い物に行き、せっせと作り置きをし、長男が塾に行く日はお弁当を作り、夫が深夜に帰宅してもおかずを温め直して出した。食べ物が体を作るのだから、食べることをおろそかにしてはいけないと祖母に習ったと彼女は言う。

「時間がないときは冷凍食品も使いますが、基本的には全部手作り。手作りが一番いいとは限らないけど、自分で作れば味の濃さも調整もできるし、母・妻としては自分が作ったものを食べて笑顔になってもらいたいんですよ」

家族に愛される食事を作り、家族に愛される「お母さん」でいることを、彼女は好んでいたし、それが自身のプライドでもあった。

>息子たちが喜ぶのは、自分の作る食事ではないのか
 
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