オセアニアのおすすめ世界遺産
オーストラリアの世界遺産「グレートバリアリーフ」に登録されている、ウィットサンデー島のホワイト・ヘブン・ビーチ。世界一純白と言われる白砂は小さな水晶といえるシリカからできており、ビーチは文字通り宝石のよう
3億~2億五千万年前、地球上の陸地はパンゲアという超大陸に集中していた。パンゲアは約2億年前から分裂をはじめ、1億数千万年前にローラシアとゴンドワナという2大陸に分かれた。その後ゴンドワナ大陸は西と東に分裂し、さらに1億年ほど前に東ゴンドワナ大陸からインド亜大陸とマダガスカル島、ニュージーランドが離れ、インド亜大陸はユーラシア大陸と衝突してヒマラヤ山脈を生み出した。7千万年ほど前には東ゴンドワナ大陸が南極とオーストラリアの2大陸に分裂し、現在の6大陸が誕生した。
オーストラリアの「グレーター・ブルー・マウンテンズ地域」の奇岩スリー・シスターズ。奇岩群と広大なユーカリの森、そしてユーカリによる山火事で有名な世界遺産
オセアニアの中心となるのはそのオーストラリア大陸。最小の大陸だが、日本の20倍以上の面積を持つ。大陸のほとんどは砂漠かわずかに草の生えたステップで、緑は大陸東部のグレートディヴァイディング山脈周辺か海岸地帯に集中している。ポリネシア、メラネシア、ミクロネシアの島々や大陸北部の沿岸部はほとんどが熱帯雨林気候かサバンナ気候で、豊富な降水量からジャングルや草原が生い茂り、同時に多種多彩なサンゴが生息する魚影の濃い海に囲まれている。熱帯雨林の世界遺産としてはオーストラリアの「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」、海の世界遺産としては同じくオーストラリアの「グレートバリアリーフ」などがある。
「ウルル・カタ・ジュタ国立公園」の巨岩カタ・ジュタ。伝説ではこの岩の上に巨大な毒蛇がいて、乾季になると地に這い出してくるという
マオリの世界遺産にはニュージーランドの「トンガリロ国立公園」、大航海時代以前の島々の様子を伝える世界遺産には、バヌアツの「酋長ロイ・マタの領地」、パプアニューギニアの「クックの初期農業遺跡」、チリの「ラパ・ヌイ国立公園」などがある。
大航海時代以降はイギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国の侵略を受け、大陸や島々の人々は、虐殺・虐待されたり、奴隷として売り飛ばされた。30万人前後いたと見られるアボリジニは数万人程度に減り、タスマニアのアボリジニは絶滅してしまった。植民地時代の世界遺産としては、19世紀半ばからはじまるゴールド・ラッシュで栄えたメルボルンの象徴「ロイヤル・エキシビジョン・ビルとカールトン庭園」がある。
では、オセアニアの代表的な10件の世界遺産を紹介しよう。
グレートバリアリーフ
美しいサンゴ礁。あまりに広大な世界遺産の中には、グリーン島、ウィットサンデー島、ヘロン島、ダンク島、フランクランド諸島など無数の名所がある
月から見える唯一の世界遺産といわれ、その長さは約2,500kmと北海道から九州までの全長約2,000kmを上回る世界最大の世界遺産で、世界最大のサンゴ礁でもある。この海と接する大陸部分は世界遺産「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」に登録されており、大陸北東部は水陸両面で保護されている。およそ3,000のサンゴ礁、900の島からなり、400種のサンゴ、1,500種の魚類が生息する海の楽園となっている。生態系は水温に敏感に反応するため、温暖化の指標のひとつとしても注目されている。