アフリカのおすすめ世界遺産
動物の楽園アフリカで、食物連鎖の頂点に立つ百獣の王ライオンのオス。セレンゲティ国立公園に点在するコピエと呼ばれる岩に上って周囲を睥睨している
砂漠地帯は非常に乾燥しており、砂や礫、岩の砂漠に独特の文化と生態系が広がっている。人類に文明をもたらしたのがこの砂漠とナイル川。貴重な水をもたらすナイルを守るために強大な国家が必要だったようだ。こうして誕生したエジプト文明は、世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡 - ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」「古代都市テーベとその墓地遺跡」をはじめとするすばらしい遺跡を残した。
フェニキア人によって拓かれたカルタゴ。その後ローマ帝国の版図となり、ローマ第二の都市となって繁栄した
サハラ以南に広がるコンゴ盆地では、中央を流れるコンゴ川が広大なジャングルもたらし、様々な動植物を育んでいる。内戦や密猟もいまだ激しく、コンゴ民主共和国の世界遺産「オカピ野生生物保護区」のオカピや「ガランバ国立公園」のキタシロサイ、ウガンダの世界遺産「ブウィンディ原生国立公園」のマウンテンゴリラなど、絶滅を危惧されている種も多い。
アフリカ南部から西アジアへ続く巨大な渓谷が大地溝帯だ。プレートの活動によってアフリカを引き裂きつつあり、その歪みでケニアの世界遺産「ケニア山国立公園/自然林」やタンザニアの世界遺産「キリマンジャロ国立公園」のような高山を造山し、また高山から吹き下ろす乾燥した風がジャングルを変え、タンザニアの世界遺産「ンゴロンゴロ保全地域」「セレンゲティ国立公園」のようなサバンナが誕生した。
東アフリカからアフリカ南部も比較的乾燥しており、砂漠やサバンナが点在している。人々は季節風を利用して古くからアラブやインドと交易を行っており、大航海時代以降は西欧の文化も混ざった複雑な人種・文化を伝えている。世界遺産には古くからの交易都市のうち、ケニアの「ラム旧市街」、タンザニアの「キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群」、モザンビークの「モザンビーク島」などが登録されている。
では、アフリカの代表的な15件の世界遺産を紹介しよう。
メンフィスとその墓地遺跡 - ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯
ギザの三大ピラミッド。左からメンカウラー王、カフラー王、クフ王のピラミッド ©牧哲雄
ギリシア時代に定められた世界七不思議のうち、唯一現存するギザの三大ピラミッド。エジプト古王国時代、紀元前2500年前後の遺跡で、これだけ有名な遺跡ながらその目的も建造方法も内部構造も謎に包まれている。魅力はなんといってもそのド迫力で、エジプト最大のピラミッドであるクフ王のものは高さ137mに達し、19世紀までの約4,500年間も世界最高の人口建造物だった。世界遺産には三大ピラミッドのほか、サッカーラの階段ピラミッド、ダハシュールの屈折ピラミッドや赤のピラミッドなど、数多くのピラミッドが登録されている。
紹介記事はこちら>>ピラミッド地帯/エジプト