ロングステイ/ロングステイの形・スタイル

リタイアメント後の海外移住・ロングステイ

ハッピーリタイアをして海外で悠々自適に暮らしたい。そうした中高年層が増えています。定年後の自由時間をより豊かに「リタイアメント後の海外移住・ロングステイ」を特集します。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

第二の人生と「自由時間」

日本人の平均寿命は、男性が79.19歳、女性は85.99歳(2007年)と、いずれも世界のトップレベルにあります。もしも、あなたが現在52歳の男性なら、平均寿命まで27年。それを時間単位に換算すれば[27(年間)×365(日)×24(時間)=23万6520(時間)]、実に23万時間もの「自由時間」が残されている計算です。あなたが現在30代半ばの女性であるなら、その倍近い43万時間もの自由時間をはじくことができるでしょう。

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「第二の人生をより豊かに」欧米シニアにならうところは大きい
そもそも欧米には、終身雇用や定年という概念がありません。自らが引退の時期を定め、ハッピーリタイアをするのです。そして「第二の人生」の船出を、家族や関係者らは心から祝福します。キャンピングカーを駆って北米大陸を横断したり、世界漫遊の長い航海の旅に出る老夫婦の姿は、ほほえましくもあります。近年、日本でも終身雇用という概念がすたれ、早期退職やセミリタイアをするひとも珍しくなくなりました。残された自由時間を、より充実したものにするために、第二の人生設計(リタイアメントライフプラン)を早めに描くとよいとされています。

 

リタイアメントライフプランにおける海外移住やロングステイ

「人生のある時期を、海外でゆったりと過ごしたい――」。リタイア後の人生設計のなかで、そうした夢を持つひとが、近年増えてきました。ゆとりある老後に必要な生活費は、月額平均38.3万円(生命保険文化センター調べ)。夫婦ともに平均寿命まで生き抜くと想定して、トータルで1億円近い老後生活費を確保しなければならない計算になります。とうてい退職金や公的年金だけではまかないきれず、個人の積立年金や資産運用などの自助努力が求められます。

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暮らすように旅する中高年が増えている
そうしたなか、気候が温暖で治安もよく、生活物価も安い海外の地で、ゆったりのんびり「クオリティ・オブ・ライフ」を追求したいと考える日本人が増えてきたのも頷けます。仕事をまっとうし、子育ても卒業した中高年世代が、海外での暮らしを選択するのは、日本が成熟社会を迎えたことにも起因します。人生をより豊かに過ごすためのライフスタイルのひとつに、海外移住やロングステイを位置づけるひとが増えているのです。

 

「旅と金融は兄弟」
海外暮らしにおけるマネープランの重要性

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マネーは海外暮らし成功のカギを握る
このように、欧米流ハッピーリタイアの考えが日本にも流入するなか、先立つもの、すなわち資金面でのプランニングを綿密に行う必要性が増しています。ライフプランニング表やキャッシュフロー表をもとに、(1)どのようなライフスタイルで、(2)いくらぐらいの予算をかけて、(3)どのくらいの期間、海外生活を営むか。ファイナンシャルプランニング(マネープラン)もあわせて考えることが重要です。

聖地巡礼旅を手がけたことから世界初の旅行代理店として発展を遂げ旅行小切手を扱うにいたったトーマスクックや、幌馬車を利用した運送会社がやがてマネーオーダーのしくみを編み出し一大金融会社に成長したアメリカンエキスプレスなど、「旅」と「金融」にはたいへん密接な関係があります。ヒトやモノが動けば、すなわちカネも動くという経済の原理原則のなかで、とくに海外暮らしにおいては、マネーの知識が重要なポイントです。為替のしくみや通貨分散、資産移動のタイミング、海外資産の保有比率など、専門家の意見を求めるべきことも多いのが特徴です。長い老後を考えて、慎重に選択したいものです。
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