ワイン/ワインが際立つ飲み方と料理

プロが伝授、ワインと中華の美味しいペアリング技!

『香港インターナショナルワイン&スピリッツフェア2014年』にて開催された、中華料理とワインの美味しいマリアージュ体験。講師は香港のマスターオブワイン・デブラ・メイバーグ女史。プロ伝授の中国料理と相性が良いワインの組み合わせルールをご紹介。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

盛大に開催された「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア2014年」

開会式

華やかに行われた開会式

今年7回目となる「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア2014年」。香港民主化デモの影響が懸念されたが、2014年11月6~8日に、世界38の国と地域、1000社以上の出展で盛大にまた無事開催された。

基本的に、ワインやスピリッツ、日本酒などの輸出入を希望する関連業者のための展示会、いわゆるBtoBの展示会ではあるが、最終日には一般のワイン&スピリッツファンも参加できるセミナー・イベントがいくつも開催される。
 
会場

会場は香港エキジビジョンセンター

また、お目当てのワインやスピリッツ、日本酒の販売もお手頃価格で行われるため、香港やマカオ、中国本土からたくさんの一般客も来場する人気イベントとなっている。ちなみに昨年の来場者数はたった1日で23000名を超える来場者だった。





【INDEX】
 

中国ソースとワインの相性とは?

このなかで、食いしん坊が注目すベきセミナーが開催された。題して「Master Class on Sauce and “Sauce”:Matching Chinese Sauce with Wines by Debra Meiburg MW」。チャイニーズソースとワインのマッチング体験である。講師は香港を代表するマスター・オブ・ワインのデブラ・メイバーグ女史。
 
デブラ

講師のデブラ女史とともにひとつづつ検証する

中国料理にはさまざまなソースが存在する。ワインとのよい相性・美味しい組み合わせを見つけるには、味わいを決定する「ソース」に注目するとうまくいくというのだ。

確かに、たとえば鶏肉の料理だとしても、優しい塩味なのか、濃厚なオイスターソースなのか、それとも辛いチリソースなのかで、合わせるワインは変わってくる。中国料理においてワインを選ぶポイントは素材ではなくソースや調理方法で選ぶのが正解!というわけなのだ(実はこれフレンチでもイタリアンでも和食でも言えることではある)。

早速、セミナーに参加した。そして、とても面白い結果を得た。中国料理を楽しむときにぜひ参考にしていただきたいのでご紹介しよう。
 

中国ソース9×ワイン6のペアリング!

ソース

少量づつでもチャイニーズソースは個性がしっかりしている!

ペアリングの方法は、9種類の代表的な中華ソースに、6種のワインを合わせ、美味しいか美味しくないか、口中でのどのように変化するかを検証する。小さくちぎったパンに各ソースを漬け、それを食べながらワインを飲むという方法で行った。

ソースは以下の9種。
1.Dark Soy(中国産の濃口醤油)
2.Black Bean(豆鼓醤:黒大豆をベースにした濃厚で辛い醤油)
3.Black Vinegar(黒酢)
4.Sesame Oil(胡麻油)
5.Oyster Sauce(牡蠣油)
6.XO Sauce(貝柱・海老・中華ハムなどを使用した味噌風の高級あわせ辛味調味料)
7.Hoisin Sauce(サツマイモベースの甘く濃厚なソース)
8.Plum Sauce(蘇梅醤:甘酸っぱいソース)
9.Chili Oil(ラー油)

A.リースリング(甘酸っぱい軽快な白ワイン)
B.ゲヴュルツトラミネール(スパイシーな風味の濃いめの白ワイン)
C.ソーヴィニヨン・ブラン(酸味のあるドライな白ワイン)
D.シャルドネ(フルーティで落ち着きのある白ワイン)
E.ピノ・ノワール(酸味のある渋みの少ない赤ワイン)
F.カベルネ・ソーヴィニヨン(渋みのある濃厚な赤ワイン)

結果は以下だ。
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リースリング圧勝!

点心

ソースの実の後は実際の食事とともに。こちらは点心。

最も相性がいいのは「リースリング(A)」だ。
中国ソースの特徴は「濃厚さ」「辛さ(スパイシーさ)」「甘さ」にある。これらにマッチするのは、「果実味と適度な酸味がある軽快でフルーティな白ワイン」ということになる。

続いて、「カベルネ・ソーヴィニヨン(F)」と「ゲヴュルツトラミネール(B)」。「カベルネ・ソーヴィニヨン」の渋味は、濃厚でやや油分のあるソースにピッタリで、脂分を洗い流してくれる。唐辛子系の辛さとは不思議に同調し、美味しく感じさせてくれる。実際、香港をはじめとした中国のレストラン(中国料理店)では、赤ワインが主に飲まれている。たんなる赤ワインブームではなく、料理に合うからということがこれでよくわかる。

ライチーやバラの花の香りがする個性派の「ゲヴュルツトラミネール」は、飲みにくいと感じる人もいるが、スパイシーな中国ソースとはきれいなハーモニーを奏でてくれる。ワインの甘酸っぱさも心地いい。通好みの組み合わせと言えるだろう。
そのほか、「ピノ・ノワール(E)」は辛さや酸っぱさではなく旨味のあるソースとの相性がいい。フカヒレ+ヴィネガーにはピノ・ノワールがすこぶる好相性とはデブラ女史の意見。

世界中で最も人気の「シャルドネ(D)」は甘いソースとの相性が良かった。
 

残念なソーヴィニヨン・ブラン…だけど

茸

アワビに見立てたキノコの旨煮

逆に相性が悪いのは「ソーヴィニヨン・ブラン(C)」。

酸味のあるドライな白ワインだが、甘酸っぱいソースには酸が強すぎ、脂っぽいソースや濃厚な旨味には負ける、一番駄目なのが辛いソースで、ワインを口に含んだ瞬間から辛みが増し口中が痛くなる。ちなみに生春巻き+プラムソースにはとてもいい相性とはこちらもデブラ女史の意見。

ソースのみの相性体験の後は、ソースたっぷりの点心類やアワビに見立てた(!)キノコの旨煮、四川料理の鶏とカシューナッツの炒めもの(宮保鶏丁)とワインを味わう。リースリングはどれもよく合うが、ペアリングで出てこなかったがスパークリングは香ばしく揚げた春巻きにピッタリ。泡と春巻きの「クリスピーなハーモニー」が楽しい。甘辛いソースをつける点心類はロゼワインもすこぶる相性が良かった。
 

ペアリングはお好み次第

鶏

四川風鶏のカシューナッツの炒めもの

この日の参加者は総勢40名ほど。ここで掲載した結果はあくまで友田流。会場で挙手によるアンケートを取ったが、結果は実はかなりマチマチ。意見や好みはかなりわかれるものということも最後に付け加えておきたい。

さて、日本でも楽しめる中国料理だけど、ワインを合わせたいというときには、この結果をぜひご参考にしていただきたい。さらに、あなた流のおいしい組み合わせもあるはずだ。それを見つけるのもまた楽しい。もちろん、香港に行って本場の料理とワインを楽しむのもかなりおすすめ。なにせ、香港は輸入ワインに関税など税金が一切かからない輸入ワイン天国なのだから。

レッツ・エンジョイ・チャイニーズ with ワールドワイン!

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