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「5年前の住所」からみるエリアの特徴~阪神間(2ページ目)

国勢調査に「5年前の常住地」という調査項目があるのをご存知ですか?ザックリ言えば「5年前どこに住んでいたか」がわかる調査です。この調査を見ることで、その市区町村にどのような人の流れがあるのか、またはないのかがわかります。今回の記事では尼崎市から神戸市垂水区までの3市7区の移動状況を調べてみました!

田中 和彦

執筆者:田中 和彦

住みやすい街選び(関西)ガイド

「5年前の常住地」を尼崎市から神戸市垂水区まで比較してみると、なかなか面白い結果が出ます。まず注目したのは「5年前の常住地」が「現住所」、すなわち「引っ越してない」と考えられる人の割合です。

住んだらなかなか動かない!長田/須磨/垂水区

一番大きな数値を示すのが神戸市須磨区の73.7%。4人に3人は5年間引っ越していません。隣接の長田区、垂水区も70%超え。7割超えはこの3区のみ。居心地が良い、新しく引っ越してくる人が少ない等、理由はいろいろと考えられます。反対に、いちばん数値が小さいのが神戸市中央区。現住者のうち「5年前も同じ場所に住んでいた」という人は2人に1人強しかいない計算です。

次もやっぱり尼崎/西宮!

5年間のうちに引っ越したが引っ越し先は同じ市区域内。そんな人がいちばん多いのは尼崎市(12.7%)。約8人に1人は「同じ尼崎市内から引っ越してきた」という人がいるわけだ。次にこの割合が高いのは西宮(10.7%)。この2市のみが10%超。もっとも数値が低いのは「5年前の常住地割合」が一番高かった須磨区。尼崎や西宮が、同じ市域で住替えを実施する層が多いのに対して須磨の人は「その場所から動かない」と言えます。年齢構成や持ち家比率等も合わせて考えると面白い分析ができるかもしれません。

他府県からの人気が高い西宮/芦屋

5年前は兵庫県以外に住んでいた、という人の割合が高いのは西宮市(9.9%)、次は芦屋市(8.9%)、東灘区・灘区(どちらも8.4%)と続く。関西に転勤になった人が、もしくは大阪府下に住む人が、「阪神間」という言葉に惹かれて選ぶのがだいたい西宮市から灘区までの間。そのあたりの事情が数字に反映されているのかもしれません。他県から来る人の割合がいちばん低いのは長田区(2.9%)で「県内他市区町村から」も合わせて一番低い数字となっています。

最後に気になったことを一つ。「県内他市区町村から」の数字が一番大きいのがダントツで芦屋市(8.1%)。その次が西宮市(5.3%)、中央区(3.4%)ですから芦屋市だけが飛びぬけているのがわかります。う~ん、なぜなんでしょうか?各町毎の数字まで見ることにしました。

「5年前の常住地が県内他市区町村」という人の割合が10%を超える芦屋市内の町をピックアップしてみました。町名は以下の通りでした。

剱谷、山芦屋町(以上 阪急線以北)
業平町、前田町、清水町、打出小槌町、津知町(以上 JR~阪神線)
打出町、陽光町、海洋町、南浜町、涼風町(阪神線以南)

県内他市区町村の人が「高級住宅地」を求めて芦屋市に引っ越し、住所地は「山の手高級住宅街」をチョイス……という答えを予測していたのですがそうではなく、県内他市区町村からの流入が多い町は山の手から沿岸部まで幅広く存在してました。うち剱谷、陽光町、海洋町、南浜町、涼風町については新たな分譲地と思われます。芦屋市内に県内他市区町村からの流入が多いのは、憧れ要素ももちろん考えられますが、そもそも「新規分譲」が多いという理由なのかもしれません。

「5年前の常住地」という項目一つでずいぶん楽しめましたが、本記事中に数字で出ているもの以外は全てガイドの仮説。細かく町名毎に別の調査項目や住宅地図などの公開されている情報を調べたら「寮や社宅が多く流入者が多い町」「文化住宅/アパート等に住む高齢者が多く常住地が変わらない人が多い町」といった個別の特徴があぶり出されます。引っ越しの際は「駅徒歩分数」「学校区」などだけを見るのではなく町名とそれにまつわるデータを調べるのもオススメ。現地に足を運んだ後にデータをみると、いろいろと気づきがありますよ。
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