シンプルライフ/モノを減らす・片付ける

捨てられない本、どうする?(3ページ目)

愛書家の悩みは、増えた本の収納。「捨てられない、置く場所がない」なら、「自炊」でデータ化して保存しましょう。でも、自力でできない場合は?

金子 由紀子

執筆者:金子 由紀子

シンプルライフガイド


これならOK?の代行業者

社内

社内風景。1フロアで断裁、スキャン、目視確認が行われる

それらの問題点をクリアした代行業者もあります。東京・世田谷にある自炊代行業者「ブックスキャン」は、愛書家のニーズと、著作権者への配慮を、細かなルールの制定と作業の合理化によって同時に実現した企業です。

同社の利用手順は、「PCで申込み→クレジットカード決済→本の送付→断裁・スキャン・データ化→PCからダウンロード納品」というもの。料金は、どんな本でも1冊100円です。 


市場への再流出を断つ

溶解

スキャン後さらに細かく断裁され溶解処分される本

全国から同社に送られた本はすべて、背を断裁・スキャン・データ化した後で溶解処分されます。したがって、市場への再流出はありません。

また、届いた本は、すべて一冊につき一度のスキャンしかされません。多くの人が持っているベストセラー本がたとえ100冊届いても、その中の一冊だけをスキャンして、データを100部コピーする、ということはしません。つまり、必ず自分の送った本と同じものが、書き込みや落書きまでPDFデータで返ってくることになります。もちろん、スキャン後の本はすべて同様に溶解処分されます。

そして、断裁済の本(よそでスキャン済かもしれない)は受け付けません。スキャンされた本の中古市場(本の制作者である著者・出版社への利益が皆無)への流出がなくなることは、出版業界にとっては喜ばしいことと言えるでしょう。


高いクオリティとチューニング、著者への配慮

段ボール

全国から届く本。大学の研究室の資料まるごとを依頼されることも

使用しているスキャナは家庭用に比べてかなり精度が高く、文字の小さな本、古びて黄ばみの出た本であっても、たいていのものは問題なく読むことができるそうです。

スキャン後は全ページを目視で確認、問題があれば前工程に差し戻されます。万一作業工程でミスがあり、破損のためスキャンがうまくいかなかった場合は、同じものを買い直してくれます。

さらに、納品後のPDFデータが、手持ちの端末の画面で見づらい場合は、依頼すれば余白のカットや文字サイズの調整などを無料で、しかも何度でも行うというチューニングサービスは独自のもの。電子化を忌避する著者への配慮としては、受付時に、本体のISBNコードを読み取り、当該著者の本は依頼者に返送されるシステムが確立しています。


電子書籍時代への過渡期を埋めるサービス

副社長

ブックスキャン・藤田副社長。同級生3人で立ち上げた若い会社

電子書籍もだいぶ普及してきましたが、既刊書の電子化は、著作権など複雑な問題もあり、容易ではありません。新刊の時は紙の本で読みたいけれど、読み終わったらデータで保存して部屋を広く使いたい、というニーズは大きく、かつ、高齢化社会でもあり、自力で自炊ができる人ばかりではないでしょう。

紙には紙のよさがありますが、本好きにとって、場所をとらない電子書籍はありがたい存在です。電子書籍時代への過渡期を埋める技術として、自炊を利用し、これからも本と一緒のシンプルライフを楽しみたいですね。


  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます