若者狙いの“お気軽スタイル”クロスオーバー
2013年に登場したコンセプトGLAをベースとしたスタイルをもつ、M・ベンツ5番目のSUVモデル。日本でのラインナップはGLA180(344万円)とGLA250 4マチック(459万円)、それぞれにスポーツとオフロードが用意される(写真はGLA250 4マチック)
理由は簡単で、そこが世界的にみてもボリュームゾーンであり、ブランドの若返り&囲い込み戦略を中長期ビジョンで実行するメルセデスにとって、ユーザーの裾野を拡げるチャンスがそこにあるから、である。
要するに若年層がターゲット。“若モンに媚を売るなんて”、と、オールドファンなら首をかしげる話かも知れないけれども、フルラインナップ化という成長手法を採用してきた以上、そして、いま一度、SクラスやAMGモデルに至るヒエラルキー=“いつかはクラウン”方程式を確立しておくためにも、入門枠の拡大は必須の戦略というわけだ。
核となるモデルがAクラスである。以前の2世代とは違って、コンサバなFFハッチバックスタイルとした。それゆえ、派生モデルも展開しやすくなり、既にBクラス(順序的にはBが先でAが後だったが)、CLAクラスが登場し、今回リポートするGLAクラスで4車種目。さらにこの先、もう2モデル程度のバリエーションが予定されているというから、ベンツのコンパクト戦略は超本気だと言っていい。
GLA250のボディサイズは全長4430mm×全幅1805mm×全高1505mm、ホイールベースは2700mm。スポーツは全長+25mm/全高?10mm、オフロードは全長?13mm/全高+30mmとなる
そして、そこがまた、格好いい。ようやくメルセデスもFFのデザインが手慣れてきたというべきか。先に生まれた3兄弟よりも、圧倒的にスタイリングのバランスがいい。GLAに比べれば、AもCLAも、ただ顔でっかちのバランス崩れに見えてしまうほど。ワイドなスタンス、SUVにしては低いルーフライン、そして高められた最低地上高が、格好よさのヒミツだろう。
インテリアのデザインテイストは、兄貴分と同じ方向性を向く。メルセデス的なマジメさはほとんど消え失せ、SL系スポーツカーに通じる、スポーツイメージを前面に出したデザインとした。このあたりからも、“若モン狙い”であることが、よくわかる。エクステリアのデザインコンセプトとの齟齬もない。
AMGを除く日本仕様のエンジンラインナップは2種類で、直噴1.6リッターターボはFFモデル(GLA180)に、直噴2リッターターボを電制4WDモデル(GLA250)に積み、いずれも7速デュアルクラッチシステムを組み合わせた。
ファッションコンパクトSUVという世界的に流行りの路線をいくのが180系で、オン・オフ両方のパフォーマンスを上級モデル並に引き上げたモデルが250系、というわけだ。ノーマルグレードに4MATIC(4WD)を設定している点や、+30mm持ち上がったオフロード仕様のサスを用意した点が、兄弟とは違って、SUVらしいところ。逆に10mmローダウンのスポーツが、一般的には流行るかも。