ご挨拶
まいど、相場の福の神こと藤本です。信用取引の始め方・勝ち方の連載コラムです。このコラムの目的は、藤本流の半歩先読みの投資手法を学んでいただき、信用取引を上手く使うことによって、半歩先読みの投資戦略を実現化させます。最終目的は、このコラムをお読みの個人投資家が、「50万円」の投資金額で、毎月「5万円」の収益を得ることが出来るくらいにすることです。藤本流「半歩先読み術」と信用取引を使えば、あなたも勝てる投資家に!
今回は、信用「売り」で勝つには?です。
信用売りとは?
信用売りとは、証券会社に株式を借りて、株式を売却することです。株式を借りる際には、担保を入れます。担保は現金または、現物株式です。担保の額は、証券会社によって定められた委託保証金率によって決まります。例えば、藤本の所属するSBI証券では、33%なので信用売りした約定代金の3分の1の担保が必要です。逆に言えば、担保にした現金(委託保証金と言います)の3倍まで売却することが出来るという訳です。
50万円の現金を担保にした場合、その3倍の150万円まで信用売りすることができます。
株式には、「上昇」「下落」「横ばい」
株式相場には、「上昇」、「下落」「横ばい」の3つの相場があります。下記はソフトバンク(<9984> 東証1部)の日足チャートですが、大まかに言えば、横ばい→下落→上昇→下落→上昇→下落→上昇→横ばいの動きとなっています。この場合、キャピタルゲイン(売却益)を狙えるのは、現物取引では上昇のみです。下記のチャートで見ても、上昇している期間はそんなにありません。相場格言の「天井三日、底百日」といった言葉があるように、株式の上昇局面は短く、下落または横ばい相場のほうが長くなる傾向があります。
信用買いでも、現物取引でも、キャピタルゲインを狙えるのは「上昇」の時だけです。しかし、信用売りをすれば、下落局面でもキャピタルゲイン(決済益)を狙うことが可能です。現物取引や信用買いの場合、安く買って、高く売ればキャピタルゲインを得ることが可能です。信用売りの場合は、高く売ってから、安く買い戻すことができれば、売却益を得ることが可能です。
具体的に信用売りで儲かった例をご紹介してみましょう。
先ほどのソフトバンクで2014年3月19日に8432円で100株信用売りを行い、4月14日に6751円で100株買戻し出来た場合を想定すると、信用売りの場合、手数料に加えて株券を借りる信用取引貸株料や管理費、権利処理手数料がかかります。
3月19日から、4月14日までは、27日間あります。
貸株料の計算式は 約定代金×貸株料×保有日数÷365日
8432円×100株×1.15%×27日÷365日=717円
建玉に対する管理費は、新規約定日より1ヶ月目ごとの応当日を経過する都度、1株につき10銭(税込10.8銭)の割合で発生いたします。
今回は、1ヶ月未満なので、管理費はゼロです。権利処理費用は、売買単位あたり50円(税込54円)が必要となります。
※権利確定日をまたいで買建玉を保有した場合に発生します。
今回は、3月31日の権利確定日をまたいでいるので、50円(税込54円)が発生しています。
3月19日 8432円で100株空売り
売却の受渡金額は
8432×100 ― 手数料388円=84万2812円
4月14日 6751円で100株買戻し
買戻しの受渡金額は
6751×100 + 手数料388円=67万5488円
信用売りの利益は、
売却受渡金額84万2812円-購入受渡金額67万5488円 - 貸株料717円 - 管理費0円 - 権利処理費用54円=16万6553円
結局、16万6553円の利益でした。
信用売りでは、損失が無限大?
信用売りの場合、高く売って、安く買い戻せれば儲かるのですが、逆に売った値段より、高く買い戻せば、損失となってしまいます。信用買いの場合は、例えば1000円で購入して、最大の損失は倒産して0円になってしまった場合なので、1000円が最大損失です。
しかし、信用売りの場合、例えば1000円で信用売りをした場合、可能性として、株価は無限大に上昇することが出来るので、無限大の損失の可能性があります。
だから、信用売りは損失が無限大なので、「怖い」とよく言われるのです。しかし、実際には株価が無限大に上昇することはないので、無限大に損失が膨らむことはありません。
また、株価下落時には、大暴落となり、下げが下げを呼ぶことになります。急速に下げることになり、ストップ安が連続し、手仕舞い売りすら出来ない可能性があります。
しかし、株価上昇時は、急騰しストップ高が連続することは、非常に少なく、大多数の場合、損失覚悟で買い戻すことは可能です。
下げは、恐怖で下げるので、下げが加速するのですが、上げは欲で上げるので、上げが加速することは少ないのです。
元々に信用買いの信用金利3.09%と信用売りの貸株料率1.15%と比較すれば、圧倒的に信用売りのほうが、コストが低く有利です。
信用取引の場合、信用買いに比べて、信用売りのほうが儲けやすいと、藤本は思います。
信用売りは、銘柄が限定される
しかし、信用売りには、マイナス面があります。信用買いに比較して、信用売りが出来る銘柄が限定されることです。制度信用取引においては、取引所が信用貸借銘柄に指定されている銘柄のみ、信用売りが可能です。平成25年10月末時点で信用買いが出来る銘柄は、3,601銘柄ですが、信用売りの出来る銘柄は2002銘柄だけです。
全銘柄の約6割しか、信用売りが出来ないことになります。これでは、自由に銘柄が選定できないので、大きなマイナス点です。
貸借銘柄・・・売付株券・買付資金の両方を証券金融会社から借りることができる銘柄を「貸借銘柄」といい、その銘柄選定については制度信用銘柄の中から一定の基準に基づき取引所が行う。したがって、貸借銘柄に選定されることにより、制度信用取引の「買建て」及び「売建て」が可能。
信用売りには、「逆日歩」という更なるコストも
また、信用売りの場合、貸株料以外に更なるコストが発生する可能性もあります。それは、「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と言われるものです。通常、信用売りで実際に受渡に使用される株式は、信用買いの残高の株から充当されます。だから、信用買い残高が信用売り残高を上回っている場合は良いのですが、逆に信用売り残高が信用買い残高を上回った場合、受渡に使える株式が足りなくなります。このようなときには、証券金融会社が足りない株数を別途入札で調達することになります。
機関投資家などの大株主がこの入札に参加して株式を提供するのですが、この入札で決まる株券を貸す料率が「逆日歩」と言われるものです。
「逆日歩」のコストは非常の高くなる場合があるので、信用売りの場合、想定以上のコストが大きくなってしまうリスクがあります。
貸借銘柄で信用売りが可能な銘柄でも、信用売り残高が信用買い残高を大きく上回った場合など、株式の調達が困難になる場合があるので、「信用売り禁止」という規制によって、信用売りが出来なくなる場合があります。
今回のまとめ
・信用売りを活用すれば、株式の下落局面においても決済益を狙うことが可能です。現物株取引や信用買いに限定した取引に比べ投資出来る機会が、格段に増加します。・しかし、信用売りの可能な銘柄数は信用買いの約6割と銘柄が限定されます。また、「逆日歩」など思わぬコストが膨らむ可能性もあります。
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