「修繕積立金は「安いほどいい」は間違い 長期修繕計画を基に算出する
皆さまの分譲マンションの管理費と修繕積立金の金額は適正ですか?
平成25年度マンション総合調査では、全国2324の管理組合にアンケート調査を行っており、実際の管理費および修繕積立金の負担額をヒアリングしています。近年、分譲マンション市場では高層化や大規模化が進んでいることから、総戸数規模別の管理費と修繕積立金の金額を以下に紹介します。
管理費は、管理会社にどのような管理サービスを依頼しているかによって金額は高低します。その一方、修繕積立金は将来の計画修繕の予定に基づき適正金額を設定する必要があります。「安ければ安いほどいい」というわけではありません。長期修繕計画と照らし合わせながら、その適正額を判定するようにしましょう。
「資金調達」「合意形成」「仮住まい」がマンションの建て替えを阻む
そして、最後はマンションの“将来”について質問したアンケート結果を見てみましょう。老朽化問題についての対策を議論しているか?―― の問いに対して「行なっている」は35.9%、「行なっていない」は56.5%でした。そして、その方向性について聞いた結果は次のようになりました。
<老朽化問題についての議論の方向性>
- 建て替えの方向で議論し、具体的な検討をした………………1.3%
- 修繕・改修の方向で議論し、具体的な検討をした……………58.2%
- 「建て替えの方向」「修繕・改修の方向」両方で議論し、建て替えの方向で検討した……………1.3%
- 「建て替えの方向」「修繕・改修の方向」両方で議論し、修繕・改修の方向で具体的な検討をした………………3.8%
- 議論はしたが、具体的な検討をするには至っていない………30.5%
やはり建て替えのハードルが高いことが分かります。(1)「資金調達の困難性」、(2)「建て替え反対の区分所有者の説得(合意形成)」、(3)「仮住まいの確保の心配」―― が問題点のトップ3に挙がっています。検討には入れても、実際に建て替えにこぎつけるのは、ひと握りのマンションだけなのです。
かつては“高嶺の花”と言われた分譲マンションが惨(みじ)めな末路を迎えないためにも、区分所有者による早目の議論・検討が欠かせません。