ウィーンのカフェ文化
INDEXウィーンのカフェ文化
ウィンナーコーヒーとは
ウィーンのコーヒーの特徴
ベーシックなウィンナーコーヒー
ウィーンならではのオリジナルコーヒー
アルコール入りのウィンナーコーヒー
17世紀にウィーンがオスマントルコ軍の攻囲を受けた際、潰走したトルコ兵の置土産であったコーヒー豆を見つけたことが、ウィーンでのコーヒー文化の発祥と言われています。その後この文化は19世紀に絶頂をむかえ、カフェは世紀末芸術家や文豪たちの集う社交の場となりました。コーヒー一杯の注文で何時間も、時には丸一日を過ごす……そんな優雅なカフェ文化の根付いた生活スタイルは、いまだウィーンの街で健在です。
それではウィーンでは、一体どのようなコーヒーが飲まれているのでしょうか?
ウィンナーコーヒーとは
沖縄では沖縄そばのことを単に「ソバ」と呼ぶように、ウィーンでも地元の人はウィーン特有のコーヒーをわざわざ「ウィンナーコーヒー」とは呼びません。また日本でウィンナーコーヒーを注文すると、普通のコーヒーに甘いホイップクリームを浮かべたものが出てきますが、本場にはウィンナーコーヒーと称される特定のコーヒーは存在しません。それどころか老舗カフェなどでは、ウィーンオリジナルのコーヒーだけでも20種類ほど取り揃えていたりしますし、細かく調査すれば40種類前後も見つかるほど。コーヒーの愛飲されるヨーロッパ諸国でも、ここまでバリエーション豊かなコーヒーメニューのある文化は希少ですが、慣れない観光客としては何を注文してよいやら戸惑ってしまうはず。今回はそんな方のために、代表的なウィーンのお勧めコーヒーをわかりやすく解説していきますね。ウィーンのコーヒーの特徴
銀盆がコーヒータイムをよりエレガントに演出!甘いコーヒーが好みなら、添えられている砂糖を入れて
ベーシックなウィンナーコーヒー
■Wiener Melange(ヴィーナー・メランジュ) エスプレッソと温かいミルクが1対1の割合で入れられ、上にミルクの泡がのっているのが特徴(上写真)。ウィーンで最もよく飲まれているコーヒーで、ウィーンっ子が「コーヒー」と聞いてまず思い浮かべるのがこれ。Wiener Melange(ウィーン風メランジュ)を略して、単にメランジュと呼ばれることがほとんど。日本で出される”いわゆる”ウィンナーコーヒーとはスタイルも甘さ加減もまったく違うので、注文して驚く人も多いはず。■Mokka(モカ)/Schwarzer(シュヴァルツァー)
エスプレッソ。Klein(シングル)とGross(ダブル)がある。シュヴァルツァーの語源であるシュヴァルツはドイツ語で「黒」の意。
■Brauner(ブラウナー)
クリーム入りのエスプレッソ。同じくKlein(シングル)とGross(ダブル)がある。ブラウナーの語源であるブラウンはドイツ語で「茶」の意。
■Verlängerter(フェアレンガーター)
エスプレッソを同量のお湯で薄めたもの。ブラック以外にミルクやクリームを添えることも。ライトなコーヒーを好む人にお勧め。
■Cappuccino(カプチーノ)
シングルのエスプレッソに泡立てたミルクを混ぜたもの。カフェハウスによっては、メランジュと区別するために泡立てた生クリームのトッピングがのっていることも。
■Kaffee verkehrt(カフェ・フェアケアート)
少量のエスプレッソにたくさんのミルクを注いだもの。カフェ・フェアケアートとは「あべこべコーヒー」の意で、コーヒーとミルクの量が逆転していることからこの名が付いた。いわゆるカフェラテのウィーン・バージョン。
ぜひ飲んでみたい!ウィーンならではのオリジナルコーヒー
■Einspänner(アインシュペンナー) アインシュペンナーとはもともと「一頭立て馬車」の意。御者がこのコーヒーを好んで、よく手に持っていたことが名前の由来。内容はダブルのエスプレッソにたっぷりのホイップクリームがのったもので、グラスに入れてサーブされるのが最大の特徴(上写真)。いかにもウィーンの雰囲気が漂う、味も見た目も典雅なコーヒー。■Franziskaner(フランツィスカーナー) シングルのモカ(エスプレッソ)に多くのミルクを注ぎ、ホイップクリームとチョコレートパウダーをトッピングしたもの。アインシュペンナーと見た目が酷似しているが、ミルクが入っている分グラスが一回り大きく、ダークな色調のアインシュペンナーとは異なり、修道服を彷彿とさせる美しい茶色が特徴的。
■Überstürzter Neumann(ウーバーシュトゥルツター・ノイマン)
ホイップクリームの入ったコーヒーカップに、後から自分でダブルエスプレッソを注ぐスタイル。ウェイターがわざわざ目の前で注いでくれるので、気分も高揚!
名前も見た目も耽美!アルコール入りのウィンナーコーヒー
最後に紹介するのは、ウィーンの歴史的登場人物の名などを冠したアルコール入りコーヒー。エスプレッソベースに、リキュールやブランデーなどお酒の芳醇な風味が添えられています。
■Mozart Kaffee(モーツァルト・カフェ)
モーツァルトの活躍したウィーンでは、彼の名を冠した料理や飲み物が至るところで見られる
■Maria Theresia(マリア・テレジア)
エスプレッソにコアントローとオレンジリキュールを垂らし、ホイップクリーム及びオレンジピールがトッピングされたもの。マリア・テレジアの名にふさわしく、レディーライクでエレガントなコーヒー。
■Kaiser Franz Josef Kaffee(カイザー・フランツ・ヨーゼフ・カフェ) エスプレッソにブランデー、コーヒーリキュールをミックスし、ホイップクリームとシナモンをのせたもの。皇帝の名を冠するだけあり、強さの中にも洗練されたテイストが感じられる。老舗のカフェ・レストラン「ラントマン」の名物コーヒーで、系列店によっては名前が「フランツ・ラントマン・カフェ」であることも。
■Fiaker(フィアカー)
アインシュペンナーが「一頭立て馬車」であるのに対し、フィアカーは「二頭立て馬車」のこと。アインシュペンナーにサクランボの蒸留酒が加味された薫り高いコーヒーで、やはりグラスで供される。
カフェによってはコーヒーの作り方や呼び名が若干異なることもあるので、メニューの注釈をよく読んで選ぶと良いでしょう。また老舗カフェの多くが特製のハウスコーヒーや独自のメニューを用意しており、特にアルコール入りのものは種類が多岐にわたっています。オーストリア特産のアンズのリキュールや、卵黄ベースのアイヤーリキュールなど、珍しい材料を用いたものもあるので、要チェックです。
このようなバラエティに富んだコーヒーの数々は、ウィーンのカフェ文化を満喫するうえで欠かせないもの。旅行中にできるだけ多くの種類にトライして、ぜひ自分のお気に入りのウィンナーコーヒーを見つけて下さいね!
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