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奴らが5年振りに帰って来た! 『万獣こわい』開幕レポ(2ページ目)

生瀬勝久、池田成志、そして古田新太という演劇界のチームリーダー3人が”今、1番やりたい芝居を自分たちの企画で上演したい”と立ち上げた「ねずみの三銃士」。2004年の『鈍獣』、2009年の『印獣』に続き、彼らが5年振りにPARCO劇場に帰ってきました! 宮藤官九郎さんの書き下ろし&演出・河原雅彦さんの強力タッグで送る最新作のタイトルは『万獣こわい』。本作の公開稽古の模様を舞台写真と共に演劇ガイドがリポートします!

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド

「稽古を観に来た殺陣師の人がこう言いました。”胸クソの悪いお芝居ですね” 。今回は、胸クソ悪いお芝居です、乞う、ご期待!(笑)」とコメントしている古田さん。確かに宮藤官九郎さんの戯曲と河原雅彦さんの演出はダークでブラックな成分も多いのですが、演者全員の達者さもあって、ちょっとした後ろめたさや何とも言えない恐怖も感じながら、やっぱり大笑いしてしまうのです。

この世で一番こわいのは誰ですか?
そんなこと、口が裂けても言えません……

パルコ

(撮影: 演劇ガイド・上村由紀子)

本作『万獣こわい』でガイドが特に推したいポイントは舞台上を飛び交う台詞のミラクルパスや消える魔球等の演劇スーパープレイ! 呼吸や間合いをコントロールしながら舞台の上を凄いスピードで行き交う言葉を的確に受け、投げ、時には敢えてフェイントを仕掛ける俳優陣にテンションが上がります。演劇って言葉と感情のキャッチボールが完璧に出来る人達が集まれば、派手なセットや最先端の仕掛けなんてなくてもここまで面白いものを魅せられるのだなあ……と、ある意味当たり前のことを再認識させられました。根幹がしっかりしているので、各所に散りばめられた小ネタにも素直に乗っかって思いっきり楽しんでしまえるのですね。

パルコ

(撮影: 演劇ガイド・上村由紀子)

かつて北九州や関西で起きた実際の事件を髣髴(ほうふつ)とさせつつ、落語の「まんじゅうこわい」をモチーフに展開していく不安定な時代のダークな寓話。テレビドラマでは決して観る事が出来ない演劇界のチームリーダー3人と魅力的な客演陣が織りなす演劇スーパープレイに身を任せて笑っている内に、いつの間にか何とも言えないソワゾワっとした感覚に襲われる事必至の舞台。もしかしたらあなたの平穏な日常も実は結構簡単に壊れてしまうのかもしれませんよ……。

◆ ねずみの三銃士 『万獣こわい』
2014年3月15日(土)~4月8日(火) PARCO劇場(東京・渋谷)
作 宮藤官九郎  演出 河原雅彦
出演 生瀬勝久 池田成志 古田新太 小池栄子 夏帆 小松和重

公式HP (チケット料金、東京以外の公演地等、ご確認下さい)

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