ジャズ/シチュエーション別おすすめジャズ

年末に聴きたいジャズ(JAZZ)ベスト3(3ページ目)

年末の定番音楽と言えば、ポップスでは紅白歌合戦やレコード大賞、クラシックの世界では、何と言ってもベートーベンの「第九」です。特にオーケストラと百人にもおよぶコーラスによる「歓喜の歌」には、一年の垢を全て浄化させてくれるような効果を感じます。もちろんジャズにも年末に相応しい曲が沢山あります。今回は、年末に聴きたいジャズ(JAZZ)をご紹介いたします。

大須賀 進

執筆者:大須賀 進

ジャズガイド

 第一位 スウィングの王様 ベニー・グッドマン 「ライブ・アット・カーネギー・ホール」より「シング・シング・シング」

ライヴ・アット・カーネギー・ホール・コンサート1938(完全版)

ライヴ・アット・カーネギー・ホール・コンサート1938(完全版)


この実況盤が録られたカーネギーホールは、元々クラシックの殿堂として有名なホールでした。そこで行われた初めてのジャズコンサートが、今回ご紹介するベニー・グッドマンと彼の楽団による「ライブ・アット・カーネギーホール」です。

ここには、当時のジャズ界最高峰のデューク・エリントンカウント・ベイシー楽団からの強力な助っ人も馳せ参じて、当時のスウィングオールスターズともいうべき顔ぶれによる歴史的な演奏が繰り広げられています。その歴史的なコンサートのフィナーレを飾ったのがこの曲「シング・シング・シング」です。

この曲は、ベニー・グッドマンは勿論、当時のスウィングジャズを代表する曲といってよいもの。言わば、ジャズにおけるベートーベンの第九に当たる曲と言ってよいでしょう。

Amazon

このベニー一党による1938年のライブ盤は、クラシックでいえば、いまだに第九の決定版と言われる、1951年のバイロイト祝祭管弦楽団を指揮したヴィルヘルム・フルトヴェングラーの有名な演奏に相当するものです。
 
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」


この第九は、フルトヴェングラーの盛り上がりにオーケストラも一緒に炎と化し応える名演です。

最後の最後のフルトヴェングラーのプレスト(急速に)のあまりに急速な棒にはさすがにオーケストラはついていけず、終わりの部分で金管が飛び出してしまうという有名な演奏です。しかし、そんなことは一切気にならないくらいの昂揚感に圧倒される演奏です。

ベニー・グッドマンによる「シング・シング・シング」もこの荘厳な第九にまけずに、緩急自在に盛り上がります。ベニー・グッドマンによるクラリネットソロや、ピアノのジェス・ステイシーのソロも素晴らしいですが、やはり特筆すべきはドラムのジーン・クルーパです。

この演奏が、ジーン・クルーパをスウィングドラムの第一人者に押し上げました。ジーンのドラムは、最後に向かうにつれどんどん盛り上がり、エンディングも一斉に終わり、バッチリ決まっています。音楽により一年を振り返り、カタルシスを体験するには打ってつけの、年末にふさわしい演奏といえます。

今年一年は、あなたにとってどのような年でしたか。来年は、更なる飛躍の年になりますように。また来年お会いしましょう。

Amazon
 
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場でジャズの CD・DVD を見るAmazon でジャズ関連商品を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます