「キュレーター」って何?
今回お話を伺った加藤義夫さん
「展覧会はいろいろな人と関わって、つくっていきます。デザインの業界でたとえると、ひとつのポスターをつくるとき、アートディレクターが指揮を執って内容や方向性を決めます。それを元にして、デザイナー、カメラマン、コピーライターなどいろんな人をまとめながら、一緒にポスターをつくっていきます。そんなアートディレクターの仕事内容に、キュレーターがしていることは似ています」。
美術館学芸員や大学教員を主な収入とするキュレーターが多いなか、フリーランスのキュレーターとして生活している人は、日本に10人もいません。加藤さんはフリーランスのキュレーターです。
「キュレーション」って何?
「キュレーション」とは、どういう意味なのでしょうか?「20年ほど前、アメリカから『アートマネジメント』や『キュレーション』という言葉が入って来て、未だに誰もその意味をちゃんと訳せないままです。欧米での『アートマネジメント』や『キュレーション』は、美術の考え方を通して、あるいは展覧会を開くことによって、社会の枠組みを根本的に変えるような意味を持っています。そのために、展覧会を企画するのです。 しかし日本では、美術にはそのような哲学はないし、キュレーションの解釈もキュレーターによってまちまち。今の日本での展覧会やアートイベントの多くは、宗教性のないお祭りでしかありません」。
加藤さんがキュレーションを手がける展覧会やアートイベントの主催者は、自治体、民間企業、個人、海外からなど、タイプもさまざま。ほとんどは「全体予算が3000万円以下、中小規模の展覧会やアートイベントをしたいとき」に、キュレーターを加藤さんに頼んで来るようです。