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メディカルハーブとは…種類・どんなふうに日常生活に取り入れるの?

メディカルハーブとは? 私たちの心と体の健康に役立つ植物の総称を、「メディカルハーブ」と呼びます。メディカルハーブを取り入れて、薬に頼らずに症状を改善するだけではなく、私たちが本来持つ自然治癒力を高めて、より健康なカラダ作りを目指してはいかがでしょうか。

山下 真理子

執筆者:山下 真理子

ボディケアガイド

メディカルハーブとは?

メディカルハーブとは?

メディカルハーブって

「メディカルハーブ」って、聞いたことはありますか。

薬草とか、香草という言い方もして、自然派医学において治療としても用いられる植物のことです。科学的な薬などによる治療ではなく、自然治癒力を高めて健康になるもしくは病気を治していこうとする動きは、昔に比べてどんどん高まってきていますが、「何をしたらいいのか」ということになると、知らないという人が多いのが現状です。

自然治癒力を高める=自然療法の考え方は、「バランスを維持すること」です。健康な時には、身体のバランスが保たれていて、病気になったり体調を崩した時には、このバランスの均衡が崩れる、という考え方です。メディカルハーブ協会のサイトによると、「そのバランスが崩れようとしたときには、元の調和した状態に戻す力が働くと考えます。これが自然治癒力です。つまり、病気になったときは体のバランスを元に戻す自然治癒力に働きかけ」るのです。

疾病の治療に植物が初めて用いられたのは、原人時代だとも言われます。私たちは、健康について意識するようになるずっと前から、植物を「治療薬」として用いていたということです。

ただし、病院などでもらう、いわゆる「薬」とメディカルハーブは、さまざまな点において大きく違います。

まず一番に違うのは、薬は、有効性が証明された単一の化学成分によってできていて、身体に直接作用するのに対して、メディカルハーブの中には、さまざまな作用を持つ成分が複合的に入っていて、それがからだ全体に作用を与えて効果を生み出します。局所的に作用する薬効成分は、時には重大な副作用をもたらすことさえあります。医薬品が「医師の処方のもと」に用いられるのは、そのためです。

一方、メディカルハーブでは、副作用がほとんどありません。「病気の原因を除去する」というオフェンス的な役割をするのが「薬」であるのであれば、メディカルハーブは、「病気から身体を守る力を高める」というディフェンス的な役割を果たします。

もちろん、現代多く使用されている医薬品は、もともとはメディカルハーブにルーツがあることも事実。薬草を研究し、有効成分を抽出して、それを人工的に増幅・改良したもので作られたのが、医薬品の原点だからです。

医薬品や、いわゆる近代医学をおろそかにするわけではありませんが、メディカルハーブを日常に取り入れることによって、実は、病気になるたびに薬で治療するよりも、自分自身を「強く」することで、「病気になりにくいカラダ」を作りことができるかもしれません。

今回は、メディカルハーブにどんな種類があるのか、どんなふうに日常生活に取り入れるのかをお話ししていこうと思います。
   

病気は「毎日のつみかさね」

まず、メディカルハーブについて考える前に、少し手を止めて、あなた自身の生活習慣を振り返ってみてください。

薬と違って、ハーブには「劇的な効果はない」と軽視する人がいますが、メディカルハーブは、他のハーブとは違ってより効果が実感できるハーブです。たとえば、エキネシアというハーブは、風邪に有効です。これは医学的にはっきり証明されている効能です。

決して、病院で処方される薬に「害がある」というわけではありませんが、あくまで薬は、不調な部位に集中的に作用して効果を発揮するもので、「不調を治す」ものでしかありません。病院で薬をもらって元気になったとしても、何もしなかったら、しばらく経てば、また調子を崩してしまいます。不規則だったり寝不足続きだったりなどで、悪い生活習慣を続けていたら、薬で一時的にましになったりしても、不調がダラダラと続いてしまいます。その状態が長く続いて、薬をやめられない状態になって初めて、「生活習慣病」という名前がついてしまうわけです。

生活習慣病は、その名前のとおり、毎日の生活習慣によって起こる病気です。鬱や睡眠障害などのメンタルなものも、広い意味では生活習慣病に分類されてもおかしくないとも言われています。薬に頼って気分を安定させたり眠ったりして、薬をやめると調子が悪くなるという人が最近増えてきているからです。

薬を否定するわけではありませんが、私たちの心とカラダそのものをおろそかにしては、本末転倒というもの。

病気を治すことも大事ですが、カラダと心を整えてあげることが大切。メディカルハーブがオススメな理由は、「治す」だけでなく、カラダを「整える」ことも一緒にできるという点です。
 

こうやって取り入れるメディカルハーブ

ハーブのある生活を

ハーブのある生活を

では、具体的に、どんな種類のものがあるのかを見ていきましょう。

メディカルハーブにはさまざまな種類があり、最近ではメディカルハーブ検定を受ける人も増えてきています。さまざまな種類があるので、カラダや心が不調のときに、メディカルハーブを上手に取り入れてください。

まずは、メディカルハーブの飲み方から話していきたいと思います。

ハーブは温かいお茶で飲むことがオススメ。飲みやすいし、カラダを温めることで代謝改善効果があります。急須で入れてもいいいですし、紅茶のポットで入れてもいいでしょう。あたたかくして飲むことで、リラックス効果も期待できます。ハーブの香りには、神経鎮静効果のあるもの、リラックス効果のあるものなども多くありますので、症状に合わせてブレンドしてみるのもよいでしょう。

そして、症状に合わせて、2~3週間を目安に様子を見てください。ほとんどのハーブは、だいたいそれぐらいで効果が現れます。長くても、飲む期間は1か月以内を目安にしてください。1か月取り入れて効果が出なければ、ハーブが合ってないということ。ブレンドや種類を変えてみてください。

日本では、まだまだメディカルハーブはサプリメントの一部として認識される程度ですが、国によっては実際に医薬品として用いられているところもあります。ドイツでは、医師が処方しているメディカルハーブもたくさんあります。副作用は、いわゆる薬に比べるとほとんどありませんが、中には、長期間の使用によって、人によってはめまいを起こす場合もあります。たくさん使うのではなく、少量ずつ試してみてください。

また、何か常用している薬がある場合には、併用には十分気をつけましょう。既に常用している薬がある場合は、その都度専門家に確認するか医師に確認してください。薬と併用すると、医薬品の薬効が下がる事例も報告されています。メディカルハーブと医薬品を併用して、ハーブを突然中断すると、逆に薬効が上がりすぎてしまうものもあります。
 

メディカルハーブの種類と効果

メディカルハーブの種類

メディカルハーブの種類

それでは、代表的なメディカルハーブの効能についてご紹介します。参考までに。

1.エキネシア
天然の抗生物質とも呼ばれ、免疫アップや、抗菌作用、抗ウイルス作用があります。

北米の先住民は、蛇に噛まれた傷口にエキネシアを塗ったり、歯痛にエキネシアの根を使っていたとか。随分と歴史の古いハーブです。

エキネシアは、その効果効能が科学的に実証されているメディカルハーブで、すでに治療薬として取り入れている国もたくさんあります。マウスを用いた動物実験で、皮膚炎の治療効果アップや、腫瘍の拡大を防いだりする効果があることが証明され、今後、ますます研究が進んでいくハーブになりそうです。

エキネシアを取り入れる場合は、「風邪かな?」というひき始めに摂ってみてください。風邪が悪化せず、すっきりとよくなることでしょう。

ただ、摂りすぎると吐き気がしたりする人もいるので、二週間を目安に。予防的に摂るものではないので、体調を崩した時の為にいつでもすぐ摂ることができるように家に置くのがよいかもしれません。

2.バレリアン
天然の精神安定剤。気分を安定させる作用、入眠作用があります。イライラしたり興奮して眠れないなどのときに有効です。不眠薬によくある、翌朝残る気だるさがありません。ベッドに入る30分~1時間前に飲んでください。ハーブティーの形で販売されているものもありますが、日本では、サプリメントの形で売られているもののほうが多いようです。300~500mgが1回摂取量の目安なので、使用量を守って摂取してください。バレリアンをはじめ、メディカルハーブはたくさん摂ればいいというものではありません。少量ずつから試して、自分に合うか合わないかを吟味しながら使用してください。

バレリアンは、神経安定作用のあるレモンバームなどのメディカルハーブと一緒に摂るとより効果的です。寝つきが悪かったり、ストレスが多い方はぜひ試してみてください。

3.マリアザミ(ミルクシスル)
肝機能を助ける効果があり、デトックス効果あります。お酒をたくさん飲む人や、タバコを吸う人には特にオススメです。タバコなどで発生する活性酸素からカラダを守る抗酸化作用も強いからです。肝炎や肝硬変などの肝臓疾患に有効だということも科学的に証明されていて、肝臓の組織や細胞を再生してくれることもわかっています。

肝臓は、解毒=デトックスという非常に重要な働きをする臓器です。そして、肝臓は「眠れる臓器」ともいわれるほど、多少の不調では、何か症状が現れたりしません。肝機能が低下することでカラダに不調が起こるときは、すでに手遅れになっていることがほとんど。健康診断や人間ドックで「脂肪肝」「肝機能異常」などの指摘を受けたことがある人は少なくないはず。心当たりがある人や、肝臓に負担をかけるアルコールやタバコを摂取する人は、マリアザミを取り入れてみることをお勧めします。

エキネシアと違って、マリアザミは「症状が出る前」に取り入れてください。マリアザミを取り入れてから「お酒が強くなった」という人がいるのは、肝機能が強くなったからだと考えられます。かといって、飲み過ぎには注意しましょう。お酒好きの方は、二日酔いになりにくいハーブとしてウコンを一緒に取り入れてもいいかもしれません。

4.ローズマリー
ローズマリーの花言葉が「記憶」ということからもわかるように、ローズマリーのハーブとしての効果は、集中力を増して、記憶力を高めることです。眠気を解消して、ストレスを解消することにも効果的です。

肉料理にもローズマリーが香辛料として用いられることがありますが、すっきりしたローズマリーの風味を生かして、肉料理をさっぱり食べれるというだけではなく、これは、ローズマリーには、消化を良くする効能があることに由来します。消化管を刺激して、胃腸の運動をよくします。お通じがよくなったり、腸内の殺菌作用があることから、下痢がよくなったりもしてくれます。また、ストレスで腸内ガスがたまって、おなかが張った状態になるのを解消してくれる効果もあります。

また、ローズマリーは、昔から風邪のときに用いられてきました。ローズマリーの成分には、のどの炎症を抑える効能があり、咳や痰などの風邪の症状を抑えてくれます。風邪がなかなか治らなかったり、乾燥で咳が止まらないという人は、あたたかくしたローズマリーのお茶を飲むとよいかもしれません。

5.セントジョーンズワート
セントジョーンズワートの別名は、「ハッピーハーブ」。その名前の通り、心を静めて気分をあげてくれるメディカルハーブです。

セントジョーンズワートは、毎日幸せにワクワク過ごしたい、という方にピッタリのハーブ。幸せを感じやすくなる「ハッピーホルモン」と呼ばれる脳内物質のバランスを整えてくれる働きがあるからです。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどのハッピーホルモンは、バランスが崩れてしまうと、イライラしやすくなったり、気分がふさぎがちになってしまったりします。

また、良質の睡眠のために必要なホルモンである「メラトニン」は、セントジョーンズワートによって活性化されるセロトニンを材料につくられます。「最近寝つきが悪い」という人にもオススメのハーブなのです。

ドイツなどでは、鬱の治療薬として、医師が処方しているのもこのセントジョーンズワト。けれども、いわゆる「抗うつ剤」とは全然違います。 ある特定の脳内物質に作用して脳を元気にするのが「抗うつ剤」だとしたら、セントジョーンズワートは、いつも元気に幸せに過ごせるために必要な脳内物質のバランスを整えて、元気でいれる脳の思考回路をつくってくれる働きをします。抗うつ剤とは、カラダへの作用の仕方が全く異なるのです。そのため、副作用はほとんどありません抗うつ剤の使用で、疲れやすくなったり、性機能障害や、自殺率の増加などが問題となっていますが、セントジョーンズワートにはこういった副作用は確認されていません。

仕事でイライラしたり、不規則な生活でストレスがたまったりはしていませんか。また、友達や家族、恋人との人間関係で悩んでいたり。不眠症の原因のほとんどが、仕事もしくは対人関係によるストレスが原因とも言われています。

不眠治療薬や抗うつ剤に頼る前に、セントジョーンズワートを上手に取り入れてみてもいいのではないでしょうか。
 

ハーブのある生活を

ここに挙げたハーブは、数あるメディカルハーブのうちのほんの一部です。お悩みの症状に当てはまるハーブはあったでしょうか。

日本で取り扱われているメディカルハーブの多くは、サプリメントの形で販売されています。サプリメントの形であれば、手軽に日常に取り入れることができるのでおすすめです。ただし、含有量を確認しながら摂取するだけではなく、信頼のおけるサプリメントメーカーのものを選ぶようにしましょう。

信頼できるサプリメントメーカーは、「歴史があること」「第三者機関に有用性を認められているもの」「どのような製法で作られたサプリメントかが明確であること」を基準にみてみてください。併用などについての注意書きがあるかどうかなど、消費者目線に立ったメーカーであるかどうかも、基準にするとよいでしょう。

ハーブティーにする場合は、単一のハーブと、複数がブレンドされたものがあります。香りや味が苦手だなと感じた場合は、ブレンドや濃さを変えてみてください。ストレスをためながら取り入れると効果は半減してしまうので、自分が取り入れやすい風味のハーブを探してみてください。

生だったり、ドライハーブにされたものを売られていますが、できればハーブに慣れた人に扱い方を聞くのが一番です。ドライハーブの場合は、必ず信頼できるメーカーのものを。農薬の問題などがあるので、どんな農場で栽培されたハーブかどうかも気にしてみてください。保存にはドライハーブが最も適しています。生の場合は、種類によって使える部位が異なる場合があるので、専門家の意見を聞くのが一番です。

ハーブのある生活は、ただ健康になるという意味だけではなく、日常にちょっとした変化と彩をそえてくれます。あなたの毎日が、今よりもワンランク上の毎日になれるよう、あなたに合ったハーブを見つけて取り入れてみてはいかがでしょうか。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して肌荒れや不調を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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