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ソーシャルゲーマーがただの画像にお金を払う理由(2ページ目)

ソーシャルゲームでレアアイテムを手に入れる何万円もつぎ込むようなユーザーがいます。それほどまでしてほしいアイテムというのはよほどすごいものなのだろうと思いきや、おおむねは、ただの画像です。もちろん限定の絵柄で、ゲームに有利なステータスがついてたりはしますが、それのどこに、数万円の価値があるのか、不思議ですよね。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

アイドルマスター シンデレラガールズ

アイドルマスター シンデレラガールズの図

会員数130万人を突破して絶好調のアイドルマスター シンデレラガールズ

1つ、具体的な例を出してお話しましょう。バンダイナムコゲームスがモバゲーで配信しているソーシャルゲームに、アイドルマスター シンデレラガールズ(以下シンデレラガールズ)というタイトルがあります。アイドルマスターと言えばアーケードや、Xbox360、PlayStation3など多くのゲームプラットフォームで展開している有名タイトルですね。

シンデレラガールズはそのソーシャルゲーム版ですが、実はこれが元のゲームとは全く違う作りになっています。プレイヤーはプロデューサーとなってアイドルを集め、育てていくのが目的です。アイドルを集め、というところで元になってるアイドルマスターとは大分違う感じですね。そうなんです、シンデレラガールズでは100名を超えるアイドルが登場し、それをどんどん集めていってゲームを進めます。

ゲーム中、プレイヤーはLIVEバトルという形で他のユーザーと勝負をします。LIVEバトルでプレイヤーに関与できることは、手持ちのアイドルの中から誰を戦わせるか、ということだけです。ですから、よりステータスの高いアイドルを集めたり、アイドルをレッスンなどで育てることで勝利を目指します。

この子が欲しい

アイドルマスター シンデレラガールズの図

アイドルにときめいたら、それはもうただの画像ではなくなっている証拠かも。

ビジュアル的な消費物として見た時、アイドル達はただの小さな画像です。女の子がかわいいとか、好みとか、そういうことはあるかもしれませんが、瞬間的に消費できてしまうようなボリュームのものです。また、ゲーム的な側面から見た場合、アイドル達の違いは数字の大小で決まります。身も蓋もない言い方をすれば、LIVEバトルの時に高い数字をたたき出せるアイドルがいいアイドル、ということになります。

しかし、新しいレアアイドルが発表されて、それを手に入れるためにお金を払う理由として、この画像が欲しいなあ、とか、ステータスが高くていいなあというのは、少し違うかもしれません。お金を出す多くのユーザーの感覚は「この子が欲しい」というのが近いのではないでしょうか。

アイドルを手に入れて、レッスンをして、LIVEバトルで戦わせて、そういう体験を通して、ユーザーはただの画像だったアイドルと関係を作っていきます。そして、その関係こそが価値の源泉で、ユーザーのイマジネーションの中でただの画像がアイドルといして強い存在を持った時、画像は別の意味を持ちます。

シンデレラガールズには特訓というシステムがあります。同じアイドルがダブった状態でその2人を掛け合わせるとよりステータスの高い1人のアイドルになるという仕組みです。特訓すると、絵柄も、例えばもともと私服姿だったのが、アイドルらしい衣装になるなどの変化が起こります。そこでプレイヤーが、この子のもっと輝いた姿をひき出したい、そして我がチームのリーダーに、なんて思うようになれば、そのためにお金を払うこともあるでしょう。

つまり、ユーザーとゲームとの関係性こそが価値の源泉で、その関係がユーザーの中で深くなればなるほど、ただの画像はただの画像ではなくなり、場合によっては数万のお金を投入するほどの商品になり得るのです。

こういったデータへの価値づけの方法論というのは、ソーシャルゲームだけに限った話ではありません。そして、どうやって価値をつけるかは、どんなゲームが作られるかに直結していきます。
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