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靴の「底」について深く考えてみる ヒールその4

目下「メンズシューズ基礎徹底講座」では、ただ今ヒールの意匠についてあれこれと考察しております。今回はトップリフトに付く「釘」について考えてみましょう。「どう打つか?」のみならず、これを付ける・付けないの根本的な違いも含め、ここは各メーカーやブランドの特徴が意外と出るところです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

意外と作り手の個性が出ます!

目下紳士靴に付くヒールについて様々な考察をしている「メンズシューズ基礎徹底講座」。前回採り上げた「トップリフト(トップピース)」の形状については、種類こそ少ないものの、用途目的や起源で「この靴だからこの形!」と言う一種の方程式みたいなものが存在するのがお解りいただけたかと思います。前部に刳りの入らず直線的に処理が入っているものは、流石に馬とは言いませんがママチャリ程度の自転車をこぐ時とか、確かに足の位置が落ち着くんですよね。
一般的な釘の打ち方

紳士靴のヒールのトップリフト付けられる釘。この打ち方は各靴メーカー・ブランドの靴づくりに対する姿勢が垣間見える、非常に面白いエリアです。さてこの釘の打ち方は、一体どこのものでしょう?

今回はその「トップリフト(トップピース)」に付く「」について考えてみましょう。一見全くどーって事のない小さな小さなパーツですが、これがどう打たれているかでどこのメーカーの製品であるかを識別できたり、彼らの靴作りに対する姿勢が垣間見えたりする、非常に面白いエリアです。例えばヨーロッパの誂え靴の世界では、これらが打たれた場所や本数で靴作り、特に底付けをした職人さんをほぼ特定できてしまうのだそうです。
エドワード・グリーンの釘の打ち方

釘の打ち方で非常に特徴的なのが、イギリス靴のエース的存在であるエドワード・グリーンのものです。大抵の製品では三個単位で規則正しく打たれているので、見る人が見たらこれだけで「あっ!」と分かってしまいます。

こちらの写真にあるイギリスのエドワード・グリーンの靴のそれも、独特な顔立ちとして知られています。トップリフトの角と刳りの中央部のみにシンプルに打ったり、周囲に均等間隔で打つメーカーが多い中、ここの1980年代以降の通常のグレードの大抵のものは、三つの釘が1セットになって配置されているのです。だから歩行時や足を組んでいる時などにヒール面が見えてしまうと、この配置が確認できた時点で履き手が何も言わなくても、解る人にはこのメーカー製だと解ってしまう、ある意味罪な意匠です。


罪な意匠と言えば、こんなものもあります。詳しくは次のページへ!
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