チック症とは
一見すると癖と間違えられやすいチック。治療には周囲の暖かい配慮が必要で、むやみに叱ったり、注意したりすると悪化してしまいます
症状は乳幼児期からの心と体の成長に伴って見られ、大人になるにつれ普通は自然と消失しますが、学童・思春期まで続いて生活に支障がでる場合もあります。このように慢性化するものはチックではなく、「トゥーレット症候群」と呼ばれます。
チック症の症状
チック症は、動きが中心の「運動チック」と発声が中心な「音声チック」の2つに分類できます。■運動チック
具体的には、まばたきを繰り返す、目を動かす、顔をしかめる、首を振るなど、多くは首から上の動作として症状が出ることが多いです。ときには手足の動きや、ジャンプ、スキップなどのに見える発作もあります。
■音声チック
咳払いや「あー」「うん」など短い言葉を繰り返し発します。
実はこれらの症状は本人がコントロールできないものではなく、止めようと思ったときには一時的に止めることができます。しかし、チックを出したい衝動や、その動作をしなくてはならないという強迫観念が強くなったとき、それらの動作を一気に行うことで解放感を感じてしまうのが特徴です。
また、気楽にテレビや本を見ているときや、不安感やイライラが強いときには多く出現しますが、何かに集中していたり、学校や医師の前、睡眠中には症状が少なくなります。
子供のチック症・大人のチック症
チックは小児期によく出現し、平均は6歳前後です。大部分のチックは10歳までに出現し、男児に多いとされています。10歳を過ぎれば徐々にチックは減少しますが、一部には成人を過ぎても症状が残る大人のチック症もあります。チック症の原因
チックの原因は、正式には分かっていませんが、線状体という脳の一部の異常と心の問題とが絡み合って症状が出ていると考えられています。ですから、親から「どうしてまばたきばかりするの」と叱ることで、どんどんと病状が悪くなってしまうこともあります。チック症の治療
チック症の治療は生活指導と薬物治療が中心になります。本人が症状にとらわれすぎないよう、不安感をとりのぞくことが大事で、むやみに怒ったり注意したりすることは避けましょう。全身運動をして特定の動作を繰り返したいという衝動を発散させることや、何かに興味を抱けるよう、熱中できるものを持たせてあげることも有効です。
薬物治療の中心は、ハロペリドールなどの向精神薬を使用することが多いです。しかし、眠気やふらつきなどの副作用があるので、とくに年少者に使用するときには注意が必要です。
チックはいずれ自然と改善することが多いので、周囲があまり神経質にならないことが大切。症状に理解を示し、注意したりせずに受け入れるようにしましょう。