「ロイヤル オーク」の衝撃
戦後は、それまでの複雑時計に代わってエレガントな薄型時計がオーデマ ピゲの主流になる。1946年には世界で最も薄い腕時計用手巻きムーブメントをいち早く開発して、50年代や60年代のドレスウォッチ全盛時代をリードした。1972年には「高級時計の常識を覆す」と騒がれた世界初のステンレススティール製の高級スポーツウォッチ「ロイヤル オーク」が発表される。高級時計とは、あくまでも貴金属を使ったドレスウォッチという既成概念や価値観を、まさにそうした高級時計を作り続けてきたオーデマ ピゲ自身が打破したからである。船の舷窓をモチーフにしたベゼルや、ケースと一体化したブレスレットも当時としてはきわめて斬新かつ大胆なデザインだった。それは、ライフスタイルをエンジョイする人々のための「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」という現代の先端的なコンセプトを先取りするものだった。
現在のオーデマ ピゲは、複雑機能やハイテク素材を取り入れてますます進化する「ロイヤル オーク」をはじめ、創業者の名を冠した丸形ケースの「ジュール・オーデマ」や角形ケースの「エドワール・ピゲ」、斬新なオーバルケースが印象的な「ミレネリー」を中心にしながら、21世紀の革新的な超絶コンプリケ-ションの開発にも積極的に取り組み、名門の貫禄を余すところなく伝えている。
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