天を目指したゴシック建築
写真左が横から眺めた双塔、右が南ファサード。木々を思わせる刺々しいデザインがゴシック建築の特徴だ
ゴシック建築は三大要素といわれる尖頭アーチ、フライング・バットレス、リブ・ヴォールトを中心に、骨組みのような構造を特徴とする。たしかに骨組みが木の幹や枝を、巨大な窓にはめられたステンドグラスの光が木漏れ日を思わせるが、これが「ゴシック」の由来になったのだろう。
天井の様子。山型のアーチが尖頭アーチ、×型が交差四分のリブ・ヴォールト
答えは「天」。
キリスト教にとって光とは神そのもの。神の場である教会、特に一帯を取り仕切る大聖堂(カテドラル。ドゥオーモ。ドム)にはより多くの光が必要だった。同時に、神の国とはすなわち「天」。大聖堂は天高くそびえ立つべきだと考えられ、それゆえ人々は光と高さを求めて競い合った。
ライトアップされたケルン大聖堂。細部の細部まで装飾が施されているのがよくわかる
ケルン大聖堂の建設
南ファサード扉口のタンパン(ティンパヌム)。精緻な彫刻が美しい
ケルンのドイツ語読みはコロン。もともとはラテン語の"Colonia"を語源に持つが、これは英語の"colony"と同源で「植民地」の意味。つまり、ローマ帝国の植民市を意味した。ちなみに香水のコロンはそのままケルンの意味(フランス語でオー・デ・コロン=ケルンの水)。1792年にオレンジから作られた香水「4711」がその元祖だ。
ケルン大聖堂とライン川に架かるホーエンツォレルン橋。「ケルンの水」とはライン川のこと
1248年、この大聖堂は火災にあって消失してしまい、新たな大聖堂が建築されることになった。新しい大聖堂はより高く、より多くの光を求めて当時フランスから伝えられていたゴシック様式で建築されることになった。
【関連サイト】
- 4711.jp(オー・デ・コロン4711の日本語公式サイト)