雑貨/生活雑貨・デザイン雑貨

PAPIER LABO. 紙と活版印刷の新たな可能性

活版印刷はアナログ作業だからこその味わいと、人のぬくもりがある。その魅力にハマってしまった3人組が、千駄ヶ谷にショップをオープン。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

看板
道端にぽつんと佇む、シンプルな看板。


現在既に廃れつつある活版印刷。 職人の手作業で、活字をひとつひとつ探し出して組み合わせ印刷機にかける、 時間と労力を要する印刷方法です。 しかし30年くらい前までは、この印刷がほぼ主流でした。 今ではキーボードを叩くだけで、コンピューターの自動的な指令により、 簡単であっという間に印刷ができてしまいます。 便利な世の中ではあるけれど、本当にそれだけでいいのかな? ちょっと味気ないような気もする・・・。 あえて手間暇かけることの魅力、そして紙という素材の面白さに気づいてしまった3人組が 意気投合し、ユニークなお店を開きました。

紙の可能性を広げる、小さな実験室

店の前には大きなテーブルとベンチ。みんなここでのんびり。
お店の名前はPAPIER LABO.(パピエ・ラボ)。LANDSCAPE PRODUCTSの江藤公昭さんと ALL RIGHT GRAPHICSの高田唯さん、 SAB LETTERPRESSの武井実子さんの3人で運営する、 紙と紙にまつわるプロダクトを紹介するお店です。真っ白にペイントされた清々しい外観。 外にはベンチやテーブルを置いたちょっとしたスペースがあり、脇には緑も植えられていて気持ちい~い。 お店を訪れたついでに、ぼーっと寛いでしまいそうです。

店を訪れる人は性別も年齢層もバラバラ。年配の人が面白がってのぞきに来ることも。 活版印刷は若い人には新鮮だけれど、ある年代以上の人にとってはどこか懐かしいアイテムなのです。 小ぎれいでこじんまりとした部屋の雰囲気が居心地良く、小さな空間にぎゅっと詰め込まれた作品や雑貨たちを、ガサゴソと探る 楽しさがあります。

活版印刷をメインに、ステーショナリーが集まる

紙をテーマにした作品や、お気に入りステーショナリーが並びます。
2007年の4月にお店をやることが決まり、そのまま突っ走って6月のオープン。前日にギリギリで内装が完成したというお店。 オープンまでにはあまりに短い期間ですが、 不思議と不安はなく、3人の意見もいつも一致していたそうです。 ダイレクトメールやショップカードを作ったり、様々な準備作業をしながら、お互いの感性を確認し、改めて強い絆ができました。


活版製品
言葉で表現する以上の魅力がある、活版印刷を使った作品たち。

店内にあるものは、活版印刷を使ったレターセットやポストカード、原稿用紙など。そして自分たちの感性にぴったりとはまった、お気に入りのステーショナリーたち。 ここだけのオリジナルも多く、某ステーショナリー会社とのコラボ作品も近いうちに 並ぶ予定とか。今後も気の合うクリエイターやメーカーなどと、お互いの感性を生かした作品作りを 行っていく予定です。

写真左上はオリジナルのレターセットと原稿用紙。活版を丁寧に組み合わせて作った ユニークな作品です。活字をプレスすることで、文字部分が少し凹んだようになるところも、活版印刷の魅力。 ひとつひとつ微妙に違う、手作りっぽい質感(実際手作業ですが)がくくっと心を揺らすのです。 真ん中右のショップカードは、紙質にもこだわり、卵のパッケージなどに使われているパルプ紙を使用。 端にある数字の1は初版という意味。これから刷るたびに2,3,4とカウントしていくのだそうです。 右下の小さな紙は、活版で型押しだけした、自分で書き込む万年カレンダー。 カレンダーとしてはもちろん、自分や友人の誕生日を書き込んで手紙にしのばせる、などアイディア次第で用途が広がりそう。

ここでは、「オールライト工房」として活版印刷の受注も行っており、 名刺やウエディングアイテム、レストランのメニューなど、 ちょっと気の効いた印刷物をオーダーすることも可能です。 また、いずれは活版印刷を実際に体験できる、ワークショップなども考案中だとか。

さて、ショップを営む3人の出会いとは?
店外観
店内
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