マーケティング/マーケティング事例

家電量販店戦争でヤマダ電機が仕掛ける次の一手とは?(2ページ目)

家電量販店業界は、業界トップのヤマダ電機が郊外店から都心店への戦略転換を行い、ターミナル駅を中心に激しい争いが展開されています。業界初の3兆円を目標に掲げるヤマダ電機の次の一手は? マーケティング戦略の観点から読み解いていきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド


「アドバンテージマトリクス」を活用した事業拡大戦略

売上3兆円という高い目標の達成を目指すヤマダ電機に他の打ち手はないのでしょうか? 世界的な経営コンサルティング会社のボストンコンサルティンググループが開発したアドバンテージマトリクスを活用すれば、新たな一手を見出すことができます。

アドバンテージマトリクスとは、企業の事業タイプを4つに分類し、タイプごとに最適の事業戦略を検討していくためのフレームワークです。規模と収益率で企業を分類していきます。
アドバンテージマトリクスでは収益性と規模で事業を4つのタイプに分類する。

アドバンテージマトリクスでは収益性と規模で事業を4つのタイプに分類する


1つめのタイプは、規模を大きくしても収益率のアップに繋がらない分散型事業です。たとえば、シェフの腕前がずば抜けたレストランは、テレビや雑誌などに取り上げられて多くの客で賑わっています。

ただ、この事業を拡大しようと試みた時に大きな壁にぶち当たることになります。一人のシェフの腕前に頼っている事業なので、同じ品質の料理を提供できるシェフを確保することが困難を極めるからです。このように、分散型事業では限られたプロフェッショナルが事業運営の大きな要素となるために、簡単に規模を大きくできないという問題を抱えることになります。

2つめのタイプは、規模を大きくすればするほど収益率が高くなる規模型事業。外食産業で言えば、ファミリーレストランなどが規模型事業の典型例です。分散型事業では一人のシェフの特別メニューが成功の鍵を握りましたが、規模型事業ではメニューを標準化して誰でも同じ味が出せるようにすることによって多店舗展開が可能になり、規模が大きければ大きいほどコスト面で優位に立ち収益力が高くなっていきます。

3つめのタイプは、規模と収益力に明確な関係の見られない特化型事業。このタイプの事業では、規模に関わらず収益を上げることが可能になります。つまり、小規模な事業でも高い収益を上げられますし、大規模な事業でも高い収益を上げることができるということです。たとえば、外食産業の中で寿司という事業に特化すれば小さな店でも高い収益を上げることができます。回転寿司のような大規模チェーンでも、高い収益が上げられるというのが特化型事業の特徴になります。

最後の4つめのタイプは、規模にかかわらず収益を上げることができない手詰まり型事業。このタイプの事業は衰退期に突入して、市場のニーズが低くなり、どんな規模の企業でも収益を上げられなくなるという特徴を持っています。

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