リーダーシップ/リーダーシップの基本知識

人を動かすリーダーシップのコミュニケーション

「リーダーシップとはコミュニケーションである」といっても過言ではありません。事実、ガイドが仕事上で接する多くのリーダーが異口同音のように語っています。今回は、リーダーにとって、どんなコミュニケーションが必要なのかを考えていきます。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

人を動かすリーダーシップのコミュニケーションとは

リーダーシップのコミュニケーション力とは

イメージ通りの成果を出すには「報・連・相」は必須

「リーダーシップとはコミュニケーションである」といっても過言ではありません。事実、ガイドが仕事上で接する多くのリーダーが異口同音のように語っています。今回は、リーダーにとって、どんなコミュニケーションが必要なのかを考えていきます。
 

成果を出すコミュニケーション

今の仕事が依頼主である顧客や上司からの要望で成り立っている以上、あなたの仕事は個人レベルですがアウトソーシング先ということになります。仕事を依頼する際、依頼主である顧客や上司は通常成果物(アウトプット)のイメージを持っています。そのイメージを基準に評価が下されるのです。評価は「期待外れ、期待通り、期待を越えた」という3パターンです。

仕事のイロハのイである「報・連・相」は、コミュニケーションによってイメージ合わせをすることに他なりません。評価される人、されない人はこの基本動作がきちんとできているか否かに尽きると言ってもよいでしょう。

上司であるリーダーは部下であるメンバーの成果を出すために、まずはこの基本動作を徹底的に叩き込むことでしょう。きちんとしたコミュニケーションさえ取れていれば、部下は期待通りの仕事をしてくれます。
 

モチベーションを高めるコミュニケーション

やる気のある組織、モチベーションの上がる組織をリーダーは創造しなければなりません。そのために必要なことは、ビジョン・方向性を示すことです。

例えていえば、船長と船員の関係。一緒に航海をしているのです。目的地が明確でなければどこに行けばよいかもわかりませんし、何をすればいいのかもわかりません。つまり、目的地を時間軸で示すことです。10年後、5年後、3年後、1年後というように。目的地が明確になれば、それに向けてエネルギーの集中と選択が実行できます。特に、状況が悪くなり方向性が見えない時、お先真っ暗で不安感と疲労感と疲弊感が充満するものです。

そういうときこそビジョン・方向性が重要で、前方に一筋の光が見えるので苦境の時でも一丸となって頑張れるもの。そのビジョンをメンバーと共有するには適宜リーダーはメンバーに伝えていくことが求められます。

J・F・ケネディー大統領以来の希有のリーダーと称されるバラク・オバマアメリカ大統領は、コミュニケーション力の高いリーダーとして有名です。
 

ビジョンと方向性を示したリーダー

円滑なコミュニケーションはやる気を高める

円滑なコミュニケーションはやる気を高める

オバマ大統領はアメリカ合衆国の第44代大統領であり、アメリカの大統領としては初のアフリカ系という歴史を変えたカリスマ的なリーダーとして知られています。

最近では支持率が低下していますが、大統領就任時の人気はどのようにして作られたのでしょうか。「Yes, We can!」「Change!」をキャッチフレーズに世界中にブームを巻き起こしたことはみなさんご存じでしょう。彼のリーダーシップ力を構成する要素の1つは、言葉の持つ大切さを非常によく理解していることです。

言葉には、それを発する人の考えや思いが込められています。だからこそ、その言葉を選んだのはなぜか、その言葉は本心なのかと受け手は話し手が思っているよりも敏感に感じ取るものです。誰かの受売りでは説得力がなく、思ってもいないことを言うと言葉の端々に本音が見え隠れしてしまうのはそのためです。

リーダーは自分の発する言葉の重要性を意識したうえで、言葉を選び発することが必要であります。オバマ大統領があれほど人々の心を掴むのは、何よりも彼の言葉が人々の心を揺さぶるからです。

彼は、常に「私たち」・「我々」(We)という視点で国民に語りかけてきました。大統領選挙を戦った際に掲げたスローガン「Yes, We can.」は、彼の姿勢をよく表しています。

反対に、「私が、私が」という発言が多いリーダーもいます。そういう人は、自分のことしか考えていないという印象を与えやすいでしょう。自分のことしか考えていないリーダーについていきたいと思う人はいないはずです。

オバマ氏は大統領選挙に勝利した際の演説で、次のように述べています。

「今こそが大切な時なのです。今こそ、我々は人々をもう一度職に就け、子どもたちのために機会の扉を開け、繁栄を取り戻し、平和という大義を推進し、アメリカンドリームを再生すべきなのです。そして、再認識すべきなのです、基本的な真理を。すなわち、多数から一つへであり、我々は一つなのだということを。息をし続ける限り、我々は希望を持ち続けるのだいうことを。我々が冷笑主義と疑いで応じられる場所や、我々にはできないと言ってくる人たちに対して、国民の精神を端的に表す不朽の信条で我々は応じます。大丈夫。我々にはできると」
(抜粋:『オバマ演説集』より(朝日新聞出版社))

「我々」という視点で語りかけてくれたら、人々はついていきたい、この人を信頼して賭けてみたいと感じるでしょう。実際にこの演説を聞いて、多くの人が涙したとのこと。彼は人の心を掴み、一緒に頑張っていこうという気持ちを引き出すことにとても長けています。
 

リーダーはビジョンを相手に響く言葉で伝える

リーダーはついてきてくれるフォロワーがいて、初めてリーダーになることができます。そのためには自分の考えを理解してもらい、応援したい気持ちにさせることが重要です。

同じ意味合いのことを言うのであっても、言葉のニュアンス1つで受ける印象は変わります。リーダーにはその微妙なニュアンスの違いを感じ取り、相手の心に響く言葉を選ぶようなコミュニケーション力が必要です。

オバマ大統領はまさに「言葉の魔術師」といってもいい程の、ずば抜けたコミュニケーション能力を備えています。リーダーには言葉を自在に操る能力も必要だといえる一例でした。

このように、ビジョン・方向性を示し、それをメンバーと共有することが第一です。それにはコミュニケーション力が重要で適宜伝え続けることです。

同じレベルで共有できれば、メンバーもリーダーと同じレベルの当事者意識を持ち得ます。結果的に、個々が自立し、有機的に連帯できる強い組織・モチベーションの高い組織を創造することができるのです。

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