がん治療の前に必要な3つの診断
色々あるがんの治療法の中から最適なものを選ぶためには、3つの診断をつける必要があります |
局在診断
まずは、局在診断。つまり、肺がんといっても、右にあるのか左にあるのか、と言うところから始まって、右なら上の方か下の方か……という風に、いわば、がんの居所をはっきりさせる必要があります。レントゲンやCT、超音波検査が用いられます。
質的診断
次に、質的診断。局在診断のための検査などでわかるのは、どの場所にどれぐらいの大きさでどんな形のできものがあるかどうかということだけです。そのできものが、がんであるのか違うのかということは、写真を何日見ていても分かりません。「生検」といって、できものの一部を採取してきて顕微鏡で詳しく観察し、その細胞ががんとしての性質を備えているかどうかということを確認して、はじめて、がんと診断されます。胃カメラなどの内視鏡検査が代表的な検査です。
病期診断
そして、最後は病期診断。病期というのは、病気の進行度のことで基本的には、最も早期のI期から最も進行したIV期までに分類されます。これらは、もともとのできものの大きさだけでなく、肝臓や肺、骨や脳など他の臓器への転移や広がりなどから総合的に判断します。病期診断を得るために、肺がんなのに脳のMRIや腹部のCT、骨のシンチグラフィを撮影したりします。
これら3つの診断を得た上で、はじめて患者さんにとって最適な治療方針というものが決定されるのです。今、受けている、もしくは計画されている検査がこれら3つのうちのどの診断を得るために行われているのかがわかると、そこはかとない焦りや不安は、ずいぶん軽減されるのではないでしょうか。
手術を受けられる方でチェックしておくべきこと
手術が予定されている方の場合には、もう一つ調べておくべきことがあります |
それは、「手術に耐えられるかどうか」ということです。
がんの手術は、基本的には全身麻酔で行われます。心臓や肺、肝臓や腎臓といった臓器の機能をチェックしておく必要があります。
極端に心肺機能が低下している場合には、全身麻酔をかけることで大きすぎるダメージを与えてしまうことがありますし、肝臓や腎臓の機能が悪いと、手術後に血漿交換や人工透析といった処置が必要になってしまうことがあります。色々な採血や、呼吸機能の検査、心電図検査などは、これらをチェックするために行われます。
手術をして良いのは、内科的治療が限界を迎えている場合と、手術を行うことによって、明らかに患者さんの状態が良くなることが期待できる場合に限られます。
このように、実際にがんの治療を行う前には、チェックしておくべき事項がたくさんあるため、自然と、色々な検査が予定されていきます。立て続けに検査を受けると、程度の差はあれ不安な点や分からない点がでてくると思います。そんなときには、主治医にしっかりと尋ねて、不安と不満をできるだけ少なくした状態をキープしておくことが大切だと思います。
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