感染症のしくみ・感染経路・予防法・治療法

更新日:2003年09月12日

パートナーと赤ちゃんとKissをする前に考えよう! マウスウォッシュはKiss前?後?

口の中の抗菌・除菌ということで抗菌効果のあるマウスウォッシュが売れているようですね。ところで、マウスウォッシュはKISSの前が良いか後が良いか考えたことがありますか?今回はそんな疑問にお答えします。

マウスウォッシュはKissの前が良いか後が良いか考えたことがありますか?

このところの抗菌・除菌ブームで除菌・抗菌作用のあるグッズが売れているようですが、口の中も抗菌・除菌ということで、抗菌効果のあるマウスウォッシュも多くの方に愛用されているようです。

ところで、アナタはKissの前にマウスウォッシュをされますか?それとも、後にしますか?医学的にマウスウォッシュはKissの前が良いか後が良いか考えたことがありますか?今回は、そんな疑問にお答えしてみようかと思います。


唾液1ml中に1億~10億個の菌が!!

目には見えませんが、口の中には口腔常在菌と呼ばれる菌がいます。常在菌とは、常に我々と一緒に暮らしている菌のことで、主な口腔内の常在菌は、α溶血連鎖球菌、γ溶血連鎖球菌、コアグラーゼ陰性黄色ブドウ球菌、ミクロコッカス、ペプトストレプトコッカス、フゾバクテリウム、酵母用真菌などがあり、あまり馴染みがない微生物が多いと思います。

では、これらの菌がどれくらいの数、唾液1ml中に存在しているのか想像してみてください。実は、成人では唾液1ml当たりで10の8~9乗(1億~10億)個の菌がいます。ビックリするような数ですね!


口腔の常在菌は感染防御に!

色々な菌が、数多くお一人お一人、口腔にいるのですが、それぞれ常在している菌は違います。なので、Kissをすればお互い持っている常在菌どうしが出会う可能性があります。

しかし、口腔にいる常在菌はまるで陣取りゲームをするように、その場所の陣取りをしているので、Kissなどを介して、後からその場所に行った菌はそこに住み着く(定着)することができません。ですから、常在菌は感染防御に役立っていると現在は考えられています。


口腔の常在菌は陣取り合戦がお好き

多くの方は「口臭が気になる…」ということで、Kissの前にマウスウォッシュをされることもあるかもしれません。しかしこの場合、マウスウォッシュによって口腔の常在菌の数は減ることになります。

口腔にいる常在菌達の陣取りゲームを考えるとマウスウォッシュ後は味方(自分の常在菌)が減ることになり、敵(相手の常在菌)の侵入を受けやすくなります。もちろん、マウスウォッシュによる、ご自身が持っていた常在菌が産生した物質による口臭を減らす効果とは別の問題です。

もし、マウスウォッシュをKissの後にしたらどうでしょう?この場合は外から入ってきた相手の常在菌を減らす効果があります!ご自身が持っている口腔内の常在菌を変化させないことを考えるならばマウスウォッシュはKissの後というのが、感染防御を考えると正しい考えです(相手に嫌われる可能性も高いと思いますが…)。

しかし、実際問題成人の場合、口腔内の常在菌は長い時間をかけて、その個人の口腔内に定着しているので、Kissで変化する可能性は低いと考えられます。


虫歯の方が赤ちゃんにKissをする時は気をつけて!

これを小児と親の関係で見ると話は変わってきます。小児の口腔内は無菌の状態から始まり、さまざまの菌が定着していきます。

親が口腔常在菌として虫歯の原因となるα溶血連鎖球菌のある種類をお持ちの場合、愛情表現として親が子供にKissをした際に虫歯菌が子供に移って定着する可能性があります。

この虫歯菌には、歯によくつき虫歯を起こしやすいものと、歯についても直ぐに落ちるものがあることが知られています。

歯及び口腔内の免疫に遺伝がどの程度関係するかわかりませんが、親が虫歯になりやすい型の虫歯菌を持っていると子供も虫歯に成りやすい可能性があるので、もしご自身が虫歯をお持ちの際は、赤ちゃんへの愛情表現のKissは御注意ください。


胃潰瘍の原因菌も歯垢中いる可能性が!

余談ですが、最近の研究では胃潰瘍(胃癌?)の原因となるヘリコバクターピロリも歯垢中いる可能性が報告されています。ただし生菌(せいきん)ではなく休眠状態の菌のため感染性が有るかどうかは不明となっているようです。
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この記事の担当ガイド

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西園寺 克

臨床検査の中で臨床細菌学、臨床薬理学、臨床免疫学を専攻しました。医学に関する幅広い知識をベースに、医…

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