マンション管理/マンション管理・購入後の基礎知識と注意点

あなたの常識が試される! マンション管理のウソ・ホント(2ページ目)

「管理費は管理会社が勝手に値上げできる?」「1階住人はエレベーターメンテ費用を免れる?」「管理員室の光熱費は管理組合負担?」これって、ウソ?ホント?

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

管理員室の電気代や電話代は管理会社が支払っているの?また、管理員室の使用料(賃料)を請求することは可能?

ほとんどのマンションには、管理員さんが詰められるように管理員室があります。エアコンは当然で、簡単なミニキッチンや冷蔵庫が併備されていることもありますが、その際の電気やガス、さらに水道料金はいったい誰が負担しているのでしょうか?

すべてのマンションがそうとは限りませんが、ほとんどが管理組合の負担となっているはずです。つまり、そのマンションに住む居住者(賃借人は除く)が負担しているのです。管理会社の担当者に質問すれば、どちらの負担か教えてくれますし、管理委託契約書には「管理事務に要する費用の負担および支払方法」が記されておりますので、皆さまのマンションがどのようになっているか確認することができます。

国土交通省は管理会社との契約時にひな形として使用できるように、「マンション標準管理委託契約書」を作成しており、その中で「管理組合は委託業務費(=管理会社への報酬)のほか、管理会社が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする(第6条4項)」と定めています。要するに国(国交省)が「管理組合負担としましょう」と提言しているわけですので、管理会社に負担させるには、管理組合側にも知識や交渉力がないと一筋縄ではいかないということです。

まったく同じ発想で、管理員室の使用料を管理会社へ請求することも、まず無理でしょう。「無償で使用させる」という意味です。

   
【結 論】

管理員室の光熱費や使用料はマンション管理を行なうための「経費」として扱われるため、管理組合が負担する。



1階に住む居住者はめったにエレベータ-を利用しないので、エレベーターにかかるメンテナンス費用の負担をしなくてもいい?

確かに、1階の人は中~上層階の方にくらべてエレベーターの利用率は低いと思います。しかし、メンテナンス費用を免れることはできません。

写真のタイトル
1階住民はメンテナンス費用を払わなくても問題ないの?
最大の理由は、エレベーターは「共用部分」に相当するからです。共用部分は全居住者の共有財産ですので、そのマンションの住人(区分所有者)となったと同時に本人の意思に関係なく、使用する「権利」を授受し、一方で、維持管理する「義務」を負います。「屋上は使わないので、大規模修繕時に屋上の防水工事をしてもその費用は負担しない」と言っても通用しないのと同じ発想です。

区分所有法にも「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する(第19条)」と記されており、持分(通常は専有部分の床面積割合を指す)によって負担割合が決まってくると定めています。つまり「利用頻度」によって、負担の程度が異なってくることはあり得ないのです。

また、別な角度から考えてみましょう。もし、お住まいのマンションにエレベーターがついていなかったらどうでしょう?メンテナンス費用を負担することは一生ありませんが、階段利用を余儀なくされるマンションに好んで住みたいと思いますか?高齢者や障害者は当然として、元気な健常者でも敬遠したいものです。

この心理が意味することは、「エレベーターがあること自体が、立派な財産(資産)となっている」ということです。「使う機会が少ないのでメンテ費用は払わない」などと言ってはいけません。

   
【結 論】

エレベーターのメンテナンス費用は各共有者の持分割合によって決定され、利用頻度にはまったく関係しない。従って、たとえ1階住人といえどもエレベーターのメンテ費用を免れることはできない。

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