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食の世界の常識が変わる! 旨みを保存、究極の電磁冷凍発明(2ページ目)

電子レンジと同じような作用で旨みを逃がさない、長期凍結保存に利用できる発明が生まれた。磁場を利用することにより、食品細胞の粗大化を抑え、食品の味や食感、香りを落とさない凍結技術の発明である。

執筆者:木村 勝己


解凍後にドリップがでない!

この電磁冷凍の食品は、組織破壊を起こさず解凍後にドリップ(液状現象)がでないのが特徴だ。そのため、この冷凍技術をCells Alive System(CAS)と名付けた。「細胞が生きている」という意味である。

同社は既に、品質を劣化させずに野菜を1~2年間保存する技術を確立しており、さらに10年以上の長期保存を目標に研究を進めるそうである。

従来の冷凍技術では、マイナス40℃~50℃の、強い冷風により凍結させる。外側は直ぐに冷えるが素材内部が冷えるには時間がかかる。素材内部の水分子は外側の氷に吸い上げられ、内部が乾燥したようになる。

解凍すると水分子が細胞膜を破壊し、アミノ酸、有機酸、鉄分といった旨み成分と共に流れ出してしまう。これがドリップ現象である。電磁冷凍には先の原理のように素材に温度差が生じないため、旨みを保存出きるのである。

生鮮食品の安定供給

農産物や海産物は、年ごとの価格変動が激しく、安定収入を得ることが難しい。しかしCAS凍結技術を用いて、年単位で生鮮食品を保存し、通年にわたって安定供給できるようにすれば、安定した収入の確保ができる。

そのため、大和田社長は、農業、漁業関係者らを集めた試食会、勉強会を積極的に開き、町村単位で生産者が食品加工工場を持つことを提案している。

島根県海士町では、CAS凍結センターを海士港内に設立した。捕れたての魚の細胞を生かしたまま瞬間凍結し、鮮度を保った海の幸を「海士ブランド」として首都圏の市場に販売する。

そしてこの技術は次ページのような大きな期待が持たれている。
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