雨水タンクってどんなもの?
雨水タンクとは、雨水を貯める容器のことで、雨どいを通じて屋根に降った雨水をタンクに集める仕組みのこと。タンクの下部に付いている取水口から、タンク内の水を利用できます。雨水利用タンクとか、雨水貯留タンクと呼ばれることもありますが、ここでは雨水タンクと呼んで、一般家庭に設置することを前提に話を進めることにしましょう。雨どいを途中で切断して接続ホースを取り付け、雨水タンクへとつなぎます。屋根に降った雨は雨どいと接続ホースを経てタンクに貯まります
住宅に設置する雨水タンクの容量は、50リットルほどの小さなものから、500リットル程度のものが主流ですが、中には1000リットルという大型の製品も販売されています。
素材は、ポリエチレン製、ステンレス製、木製、陶器製など。自宅に設置する場合は、ポリエチレン製を選ぶ人が多いようです。形状は、筒型、角柱や樽型などがあります。色は淡い色のものから、カラフルなものまでさまざま。植栽との調和や、耐久性など、重視したい項目によって、多様な素材や形状、デザインから選択できます。
価格は、1万円台~4万円台が多く見られますが、大容量のものや、意匠性にこだわったものだと、10万円近くする製品もあります。
自治体の助成金制度は?
購入費用に対して助成金を出すなどの支援制度は、かなり多くの自治体が用意しています。東京都23区でも、3分の1ほどの区が何らかの支援制度をもっています。雨水タンク1基につき、購入費用(架台など設置経費を含む)の2分の1または3分の2の額で、上限1万~5万円を助成する自治体が多いようです。ただ、支援制度の細かな内容や条件は各自治体で異なります。条件に合えばどんな雨水タンクでも構わないという自治体もあれば、設置するタンクの数、容量、素材などに付いて細かく条件を定めている自治体もあります。雨水タンクを浸透ます(雨水を地面へと浸透させることのできる設備)とセットで設置すると、助成金が増額される自治体も見られます。
事前に申請書を提出するなどの手続きが必要なところも多いので、購入前に自治体の制度について調べておくとよいでしょう。
雨水タンク設置のメリット1:節水
雨水タンクを設置したときのメリットとして、ひとつめにあげられるのが節水になるということ。タンクに貯めた水を利用することで、水道代の節約になるというわけです。水の利用方法としては、打ち水をしたり、掃除に使ったり、洗車に使ったり。バーベキュー後のコンロを洗うのに利用していると言った声もあります。植物への水やりにも使えるので、ガーデニングを趣味としている人にもってこいですね。また、カルキのない水なので、メダカやカメの飼育に重宝しているという人もいるそうです。
雨水タンク内に貯めた水は、庭木の水やりに使えます。家庭菜園やガーデニングを趣味にしている人なら重宝しそうですね
雨水タンク設置のメリット2:災害対策
ふたつめは、雨水タンク内の水が災害のときに役立つということ。例えば、地震後に水や電気などのライフラインが止まってしまうことが考えられますが、こういった場合に雨水タンク内の水が役立ったという体験談があるのです。
雨水タンクの水をそのまま飲み水として使うのは難しいとしても、トイレの水として使用できるでしょう。また、ちょっと手を洗いたいとか、汚れた食器の下洗いに利用することができます。
災害時に、わずかでも使える水が確保されているのは心強いと思います。阪神・淡路大震災のときに、電気温水器で似たような体験をした人がいます。非常用のコックの付いた電気温水器を利用していた家庭では、温水器の貯水タンク内に残っていた水を使うことができ、非常に役立ったというのです。
雨水タンク設置のメリット3:水害の防止策
3つめのメリットは、微力ながら都市型水害の防止策となることです。アスファルト舗装をされた道路の多い都市では、集中豪雨があると思わぬ水害を招くことがあります。地域の保水力を高めるひとつの手段として、各家庭が雨水タンクを設置したらわずかな力ではありますが、地域を守る一助になると思います。
舗装された道路が多い都市では短時間にたくさんの雨が降ると排水が追いつかないことも。雨水タンクは地域を守るひとつの方法です
雨水を貯めるだけなら、バケツのような容器でもいいのですが、ふたがないとゴミが混入したり、ボウフラがわいてくる可能性も。また、太陽光が直接当たると藻が発生するので、その点からも密閉性のある容器のほうがいいでしょう。
雨水タンクはどこで買う? 設置は?
雨水タンクは、ホームセンターやDIYショップなどで販売していますが、インターネットでも購入できます。自治体によっては、補助金を受けられる推奨品と、その販売店を紹介しているところもあるようです。設置については、大型タンクなど、専門家に取り付けを依頼したほうがいい製品もありますが、設置説明書を見ながら自分で取り付ける人も多いようです。
雨水タンクを設置すると決めたら、タンクのサイズや雨どいから距離などを考えて設置場所を確保しましょう。雨水が貯まると、かなりの重量になるので、安定した設置場所を検討するとともに、転倒防止チェーンなどで万一に備えておきたいもの。また、寒冷地ではタンク内の水が凍結する恐れもあるので、冬季は取水口や接続ホースに保温材を巻いたり、接続ホースを外しておくなどの対策をしておいたほうがよさそうです。
また、製品によっては、接続ホースや取水口、転倒防止チェーンなどを別途購入しなければならないものがあるので、購入前によく確認しましょう。
節水以外にも、メリットのある雨水タンク。災害対策や地域の水害防止策のひとつとして、雨水タンクの設置を検討してみるのも、長く快適に暮らすために必要なことではないでしょうか。
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