基本原則は
炎症がないときは温める、炎症があるときは冷やす
乳腺炎の解決のために、次の2つの原則を理解することが大事です。家庭の医学でも必須の知識ですので、正しく理解しましょう。 - 身体は、冷えていると、十分に機能が発揮できません。これから使う場所を温め、血流をよくしてあげると、十分に機能することができます。スポーツの前の、ウォーミングアップと同じです。
- 炎症がある場合に、その部分を温めると、悪化します。炎症を元気にさせてはいけないので、冷やします。打ち身・ねんざ・日焼け・やけどの時なども、炎症の広がりを止めるために、冷やします。 スポーツの後の、クールダウンと一緒です。
この2つの原則をふまえ、乳腺になりかけ(うつ乳状態)から、本格的乳腺炎、重症の乳腺炎まで、それぞれのステージに合わせて対処します。
ひどい乳腺炎のときは、必ず冷やす
ママのおっぱい、吸って治してあげる
乳腺炎になりかけの時、お母さんの体力・免疫力、乳頭の状態によりますが、母乳分泌を促すマッサージや、おっぱいを温めることで、機能が高まり、自然治癒力により治ることがあります。 同様に、身体を温め免疫力を高める働きの葛根湯を2、3回服用するのは有効です。
ただし、これらの方法で1~2日程度で改善しない場合には、母乳育児に詳しい助産師や医師に相談した方が良いでしょう。
自己対処のマニュアルとして、失敗が少ないのは、乳腺炎のなりかけでも、痛みを感じたら冷やすのが無難といえます。
また、本格的な乳腺炎や、重症の乳腺炎であっても、できれば、授乳を続けることが対策の基本ですから、冷えているおっぱいを授乳の直前だけ、温タオルで皮膚が気持ちが良く感じる程度に温めてあげるのは良いことです。赤ちゃんも触って冷たいおっぱいでは、びっくりしますから。
おっぱいの冷やし方
母乳育児の本やネット情報で、冷やすための手段がいろいろ紹介されています。昔、私が勤務していた病院では、職員休憩室にジャガイモ、サトイモ、キャベツや、アロエの鉢植え、ユキノシタが置いてあり、民間療法も含め、さまざまな乳腺炎対策が試みられていました。今となっては懐かしい思い出ですが、ジャガイモ湿布の作り方も教わりました。
それらの経験からは、今はより便利で効果のある冷却ジェルシート「熱さまシート(小林製薬)」、「冷えピタ(ライオン)」や、「アイスノンソフト(白元)」などがおすすめです。
自然の物が良いという考えがありますが、ジャガイモ湿布などは、細菌の培地のようなものですし、皮膚のアレルギーなどを考えると、わざわざ手間のかかる湿布を作る必要はありません。コスト的には、小さな保冷剤(食品保存用)を冷凍して、ガーゼなどの布で包んで当てるのもOKです。
重症の乳腺炎で、おっぱいの皮膚がただれた状態になっている方は、助産師・医師に相談して、直接皮膚に接しないようにする必要があります。
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