結婚することを入籍とは言わない?
日本では結婚に際して婚姻届を提出することが義務づけられています
ちなみに、この法律は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という憲法と矛盾しているのではないかという指摘もあります。
さて、戸籍には筆頭者とその配偶者、筆頭者と氏が同じ未婚の子が記載されることになっています。ですから、子は結婚する(婚姻届を出す)ことによって親の戸籍から抜けて、新しい戸籍を作ることになります。つまり、どちらか一方の戸籍にどちらか一方が入るわけではありません。ですから、結婚することを入籍すると言うのは、正しくないということができます。
戸籍の筆頭者はどう決まる?
結婚の際にふたりで決めなくてはならないことのひとつに、どちらの氏を名乗るか?新しい本籍をどこにするのか?ということがあります。婚姻届にも「婚姻後の夫婦の氏・新しい本籍」という欄が設けられています。婚姻後の氏は夫と妻、どちらの氏を名乗っても構いません。現状では夫の氏を名乗る人が多いようです。ここで注意したいのは、婚姻届が受理されてしまうと、氏の変更はよほどのことがないと認められないということ。夫の氏を名乗りたいのに、うっかり間違って妻の氏の欄にチェックを入れてしまったなんていう場合でも、氏の変更は基本的には認められませんのでご注意を。
なお、この時、夫の氏を名乗ることを選択した場合、戸籍筆頭者は夫となります。反対に、妻の氏を名乗る場合、戸籍の筆頭者は妻となります。
新しい本籍はどこにする?
結婚をすると新しい戸籍が作られますので、婚姻届を提出する際には新しい本籍の住所を記載します。これは自分たちで好きな住所を決めて構いません。住んでいるかいないかは関係ないので、たとえば、ふたりの思い出の場所の住所でもいいわけです。とはいうものの、戸籍謄本や抄本を取り寄せる必要が生じた場合は、本籍がある役所に出向く必要があります。遠方の場合は、郵送してもらうこともできますが、どちらにしろいま住んでいる場所と本籍地があまりに離れている場合、不都合が生じる可能性があることは頭に入れておいたほうが良さそうです。
戸籍の筆頭者との結婚は「入籍」になる場合も!
再婚者との結婚では「入籍」となる場合も
戸籍筆頭者と結婚し、その戸籍筆頭者の氏を名乗る場合は、配偶者はその戸籍に入ることになります。つまり、「入籍」というわけ。たとえば、再婚者の結婚の場合は、このようになることが多いようです。
離婚をすると、戸籍筆頭者の戸籍から配偶者(婚姻によって氏を変えた者)の戸籍は除籍されます。配偶者は元の戸籍に戻るか、もとの氏に戻って新しい戸籍を作るか、婚姻中の氏のまま新しい戸籍を作るか、この3つの中から選ぶことができます。
たとえば、離婚経験者である男性と結婚し、その男性の氏を名乗る場合、その男性はすでに戸籍の筆頭者であるわけですから、女性は初婚再婚に限らずその男性の戸籍に入ることになります。
一方、初婚の男性(戸籍筆頭者でない)と再婚の女性が結婚し、男性の氏を名乗る場合は、再婚の女性がすでに戸籍筆頭者であったとしても、新しい戸籍が作られます。
初婚男性でも「入籍」になるケースとは?
なお、初婚男性と結婚してその男性の氏を名乗る場合でも、「入籍」となるケースがあります。それは、その男性が分籍をして、一人戸籍を持っている場合です。成人になれば親の戸籍から抜けて自分の戸籍を作ることができます。これを「分籍」といいます。たとえば、親元から遠く離れて就学・就職するような場合、戸籍が遠く離れた場所にあるのは不便だからといった理由で、分籍するケースなどがあるようです。
このように、分籍している人も戸籍筆頭者となっていますので、このような人と結婚して彼の氏を名乗ることを選択する場合も、「入籍」という形をとることになります。
「入籍」の場合、本籍地も変わらない
以上のような「入籍」の場合は、本籍地もその戸籍筆頭者がもともと定めている本籍地がそのまま引きつがれます。ですから、婚姻届の「新本籍」の欄には何も書かないでおきます。なお、結婚をして、本籍地を新しくしたいという場合、戸籍筆頭者がまず転籍届けを出して本籍地を変更してから婚姻届を出すほうが、手続きはスムーズに行くようです。