「福石猫」と呼ばれるこれらの猫の産みの親は、梟の館の主人、園山春二氏。1998年、自然の丸石888個にひとつずつ表情の異なる猫の絵を施し、尾道に福がやってくるようにと艮(うしとら)神社でお祓いをしてもらって町のあちこちに設置したのです。その後も猫は増え続け、現在では1000匹以上!
福石猫たちは1匹ずつ名前を持っています。これは全国から名前を募集したもので、8月8日に尾道のあちこちに福石猫が登場すると、名づけ親たちが自分の福石猫を探しに尾道を訪れるなど大変な人気を呼びました。
尾道には本物の猫たちも多数生活しており、艮(うしとら)神社の横の細い路地には、コンクリートが固まる前に歩いてしまった猫の足跡が点々と続いています。ちなみにこの神社は大林宣彦監督の『時をかける少女』にも登場しており、監督が映画の成功祈願をする神社としても知られています。
園山氏がプロデュースした招き猫美術館に通じる通りを、園山氏みずから「猫の細道」と名づけて以来、ちょっと面白いエピソードも生まれています。園山氏がメディアのインタビューに答え、冗談で「松尾芭蕉がこの道を歩いたので奥の細道にあやかって命名した」と語ったものがそのまま掲載されてしまい、歌人たちが猫の細道を訪れて芭蕉を織り込んだ句を詠んでいったというのです。(実際には、芭蕉は広島を旅してはいません)
福石猫を3回なでると幸運が訪れるとも、本物の猫がやって来るとも言われています。試しに梟の館の近くの木陰に隠れていた小さな福石猫の頭を3回なでてみると、ほどなく、木陰の坂道を猫がやってきました!
四季折々の自然の変化とともに、現れたり見えなくなったりする福石猫もいます。夏のあいだは生い茂る緑の陰に隠れていた猫が、晩秋になると姿を現すとか。
【猫の細道散歩・界隈の立ち寄りスポット】
▼梟の館(カフェ)
▼昇福亭(カフェ)
▼招き猫美術館
▼尾道アート館
▼艮神社
▼尾道観光協会「おのなび」:招き猫美術館
▼尾道観光協会「おのなび」:文学のこみち