パン屋さん取材レポート

更新日:2003年04月16日

農家のパン屋さん、ゼルコバ…立川

ケヤキ並木の続く町にある農家の方が経営するパン屋さんは週に二日だけオープンします。大きな蔵は心地よいカフェに改装され、東京とは思えない、静かな空気が流れています。

立川市西砂町のあたり、ケヤキ並木の続く五日市街道沿いは、昔ながらの古い蔵を持つ農家の多いところです。 窯焼きパン工房ゼルコバはそんな築100年ほどの農家の中にあります。 ゼルコバとはケヤキのこと。小さな看板がケヤキの木にかかっていました。


カラカラと戸をあけると、売り場の右手にある石窯のこうばしく暖かい空気があり、なんだかほっとします。 並んでいるパンたちはどれも素朴でやさしい顔をしています。 パンを焼かれているのは、この農家の鈴木美智子さん。パンが大好きで、最初は窯でパンを焼く人に教えてもらって あとはほぼ独学でパン屋さんになられたそうです。



店の奥にある「ぎゃらりー繭」は養蚕に使っていた蔵を改造した、天井の高い広々としたカフェになっています。
店で買ったパンをそこで食べることもできます。 カフェのマスターとして美味しいコーヒーを入れていらっしゃるのがご主人の英次郎さん。
パン屋さんもカフェも週に二日しか開いていないというところが普通と違うところで、他の日は農業をされているのだそうです。 ですからパンを買おうと思ったら、毎週水曜と土曜(但し第3土曜を除く)の早めの時間に来ないとなりません。 パンの販売日には店先にとれたての野菜も並びます。

この5月で7年目を迎える店のパンは、数年前あのルヴァンからひとりのパン職人、小野さんが 仲間入りしてから種類も数も増えたのだそうです。 今はホシノ天然酵母を使っていますが、もうすぐ葡萄酵母なども登場するかもしれませんね。


ぎゃらりー繭のカウンター

鈴木さんは言います。

食べものは買って食べるという感覚があまりないのです。 パンもそれほど買ったことがないし、農作物など身の回りにあるものをパンに使えたら、と思っているのです。

東京都に住む方の口からそんな贅沢な話を聞くことができるとは! しかしなるほど、使用する小麦粉や野菜などは土地のもの、国内産のものがほとんどなのでした。 じゃがいもなどは「自家産」と書いてあったりします。自分の畑の作物を使うとは素敵です。 そのほかの素材も、国内で入手困難なライ麦粉、レーズンなどはカリフォルニア産のオーガニックのもの、 三温糖、カンホアの塩(ベトナムの完全天日製法のミネラル豊富な塩)、EM農法(土を微生物で元気にし、 消毒にも酢を使うなど化学的なものは使わない製法)のりんごなど、安全に気を使っています。


パンを並べる鈴木さん

次のページではパンを紹介します。
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写真

清水 美穂子

ブレッドジャーナリスト、フードコーディネーターなど、新聞、雑誌、書籍にて活動中。

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