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時を刻むボード、クレイピースゲーム

陶器のコマに革製のボードというスタイリッシュなリバーシ。これで目指すのはずばりウィンブルドンのセンターコートだ。なぜってこのボードには「熱戦」と「時間」を刻み付けることができるからです。

執筆者:双六屋 カゲゾウ

盤上には何も残らないのか?

クレイピースゲーム
ゲーム名:クレイピースゲーム
プレイ人数:2人
プレイ時間:30分位
メーカー:KAKURA
囲碁史において、その超絶の強さから「棋聖」とまで称される本因坊秀策。彼の故郷にある直筆の扇面にはこう残されている。


戦罷両奩収黒白 一枰何處有虧成 


その内容は、どんな激戦が行われても、黒白(碁石)を片付けてしまえば、盤には何も残っていない・・・ ということらしいのだが、はたしてそうだろうか?


例外になりそうなゲームが目の前ある。KAKURAのクレイピースゲームだ。いわゆるリバーシだが、こいつは戦歴を刻むゲームだと双六屋は考える。その理由は、ボードは牛革製、コマは陶器製だということ。


このボードには戦いの時間が刻まれる

クレイピースゲーム
もっとも頻繁にコマが動く中央の4マス。美しき荒野は現れるか?
一部の高級品・嗜好品などを別とすれば、革製のボードゲームというのは意外に珍しい。そして革製品の魅力は、時を経るごとに加わる「味」だろう。


その正体は手脂による飴色の光沢だったり、擦り傷や切り傷だったいするわけだが、これらは劣化などではなく、所有者のプロダクトに対する愛着の歴史であり、勲章ともいえる。


クレイピースゲームの場合、革のボードに刻まれるのは戦歴だ。ここでの「戦歴」とは一手一手までを再現した「棋譜」ということではない。


駒を配置したり、ひっくり返すたびにほんのわずかにできるであろう、盤上の削れや傷。最初に変化の兆しが現れそうなのは、中央の4マス。マス目のラインが薄くなり、革の表面が徐々に荒れていくのではないかと想像する。


目指すのはウィンブルドンのセンターコートだ

クレイピースゲーム
陶器製のコマは独特の質感と質量があり、つまみあげるとほんのりとした重さが指先に伝わるのが良い。
ここでの荒れ方の理想は、テニスプレイヤー最高の舞台・ウィンブルドンのセンターコートだ。


大会開始直後の青々とした芝のセンターコート。しかしすぐに渾身のサーブが叩き込まれ、選手たちの激しい走り込みに抉り取られ、ファイナルが近づくにつれ土の地が目立つようになってくる。あのコートを見ただけで幾多の激闘がこの上で行われたのだと容易に想像がつく。


あのような美しい荒野をこのクレイピースゲームの盤上にも刻めたら素敵なことだ。もっとも目の前にあるのは、新品のボードであり、これがウィンブルドンのファイナルコート化するまでにはいったい何十局、いや少なくとも何百局という対戦が必要だろう。


そういう意味では、クレイピースゲームは所有者に挑戦してくるプロダクトといえる。生半可な遊び方では、美しい荒野はいつまでたっても目にすることはできないだろう。


本日の時を刻む関連・参考サイト

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