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問題は、敗北にまみれた際の振る舞いだ(2ページ目)

敗北は受け入れ難いもの。しかし一流プレイヤーはそんな時の振る舞いでさえ美学を貫きます。10万ドル失った天才ポーカープレイヤーが吐いたセリフ、世紀の伊達男が全財産を失った瞬間の行動とは。

執筆者:双六屋 カゲゾウ

ブランメルという名を聞いて皆さんが思い出すのはJリーグの仙台のチームかもしれません。ブランメルとは伊達男のこと。それもそのはず、ジョージブ・ランメルこそその名の由来であり、その才覚と一部の隙もない身なりでイギリスの社交界の王様と呼ばれ、ダンディズムの始祖ともいわれる人物です。

●ナポレオンの死で全てを失った男

かのバイロン卿に「ナポレオンよりも彼になりたい」と言わしめ、国王ジョージ4世にお洒落の指南をしたほどの男の最後は、その退場の仕方も鮮やかです。『カジノ』(黒野十一 新潮社)で見つけたこんなエピソードはどうでしょう。


時代の寵児としてもてはやされ、イギリスでも最高の名門クラブに所属していたブランメルは、当時セントヘレナ島に幽閉されていたナポレオンの今後についての賭けで「ナポレオンは島を脱出して再起する」に全財産を賭けます。

しかしナポレオンは島からでることなく病死。この知らせを聞いたブランメルは眉一つ動かすことなくサロンから静かに退出します。

その夜、全てを失ったはずのブランメルはオペラ座の会場に現れます。その衣装、その冷静極まりない立ち振る舞いは優雅そのもの、誰もが度肝を抜かれました。最後までオペラを楽しんだブランメルは、しかし上演終了の幕が下りると待たせておいた馬車に乗り込みそのままフランスへ・・・ 二度とイギリスの地を踏むことはなかったといいます。


我々の人生はゲームに限らず戦いの連続です。勉強、仕事、恋愛、スポーツ… それらのどれをとっても勝利することは簡単ではありませんが、もっと困難なのは負けたときの自己抑制です。

言うは易く行うは難しですが、ブランメルと同じく19世紀に生きたフランスの作家ヴィリエ・ド・リラダンの「紳士の条件」を知っていればもしかしたら自己抑制の助けになるかもしれません。


挙措において簡素

言語において細心

熱狂において慎重

絶望において堅忍



ヴィリエ・ド・リラダン『サンチマンタリスム』


【関連・参考サイト】

ガイド記事から窮地に陥っても冷静に行動するための知恵

・ 『人生を勝利に導くゲームの名言』 勝負に臨む際の先人達の言葉
・ 『仕事に役立つポーカー技術』 自己抑制をするための「鰐の血」とは?

参考文献

・『ギャンブル 病みつきになりそうな話(2)』(びっくりデータ情報部編 河出書房新社)
・『カジノ』(黒野十一 新潮社)
・『ダンディズム 栄光と悲惨』(生田耕作 中央公論新社)

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