ニンテンドーDS・3DS/ニンテンドーDS・3DS関連情報

“送り手”が語るニンテンドーDS(2ページ目)

巷で大人気の新携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」のココだけの話を、任天堂の宣伝マンさんに直接聞いちゃいました!

執筆者:川島 圭太

ニンテンドーDSは、こうして生まれた。(Page 2)
任天堂の使命と、その“ライバル”
任天堂とソニー陣営の携帯ゲーム機戦争勃発!ということで、大きく盛り上がった昨年の年末商戦。でも、任天堂が目指すのは、もっともっと大きなこと。

───ソニー陣営の新携帯ゲーム機「PSP」が、奇しくもニンテンドーDSと同時期に発売されることになりました。任天堂としては、PSPをどのように見ていますか?

萩島: 報道などでしばしばニンテンドーDSと比較をされますが、両者の目指している方向性はまったく異なります。ニンテンドーDSは、これまでに見たことも、聞いたこともない“まったく新しい遊び”を創造するために生み出した商品です。違うもの同士の比較をされても、我々としてはコメントのしようがありませんね。

───そもそも、ソニー陣営とシェアを奪い合うという発想でもないようですね。

萩島: そうです。ニンテンドーDSで、新しい市場を開拓していかなくてはならないと思っています。1997年以降、市場の規模が縮小傾向にあるゲーム業界の現状に、任天堂のすべてのスタッフが危機感を持っているんです。ゲームから離れてしまっているファミコン世代の人たちにとって、「ゲームは楽しかったなぁ」という思い出は残っているとしても、今のゲームは複雑で、そんなに時間とエネルギーをかけられない、という人が増えてしまったんですね。

───ゲームは、いわゆる“生活必需品”ではありませんからね。

萩島: もちろん、人間は娯楽を求めるものですが、ゲーム以外にも世の中には娯楽はたくさんあります。複雑化したゲームという娯楽に多くの人が付き合いきれなくなっている現状を打破するために、すべての人が同じスタートラインに立って楽しんでいただける商品として、ニンテンドーDSを開発することになったんです。

───そのニンテンドーDSは、ゲームボーイアドバンスのいわゆる“後継機”ではないのですか?

萩島: ニンテンドーDSをさわっていただければ、今まで味わったことのない驚きを体験できますし、従来のゲーム機の延長線上にはないことがお判りいただけると思います。宮本(注1)も、これまでのゲームの枠にとらわれない“楽しいもの”を作って、お客さんに喜んでもらうことに取り組んでいるところです。

宮本茂さん
(注1)「宮本」=任天堂情報開発本部長、宮本茂さん。いわずと知れた『マリオ』『ゼルダ』『ピクミン』シリーズなどの生みの親。

───ニンテンドーDSとは別に、ゲームボーイアドバンスの後継機も開発しているのでしょうか。

萩島: 任天堂のハード部隊は、ひとつのハードを世に送り出すと、それらの改良を含む新しい遊びの実現に向けて、次のハード開発に取り組みます。ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSは岡田(注2)の手によるものですが、次の成果をいつ、どのような形で披露することになるのかはわかりません。

───ゲームキューブの後継機とされる「レボリューション」については?

萩島: 今年のE3(注3)のタイミングで、何らかの発表をする予定です。現時点で申し上げられるのは、過去のゲーム機の延長線上には無いものになる、ということだけです。この意味では、ニンテンドーDSの精神に通じたものになります。

───確かにニンテンドーDSからは、“ゲーム機”という概念を越えた遊び方がたくさん生まれそうです。

萩島: ニンテンドーDSに内蔵されている『ピクトチャット』からして、明らかにこれまでの“テレビゲーム”とは違いますよね(笑)。

───『ピクトチャット』は、どちらかというとコミュニケーションの“ツール”に近いですね。

萩島: 『Nintendogs(仮称)』にしても、画面に子犬たちが出てくるので「育成ゲームでしょ?」とよく言われるのですが、これがまた違うんです(笑)。子犬を撫でたり、声をかけたり、遊んだり、芸を教えたりして、いっしょに幸せな時間を過ごすためのソフトなんです。ニンテンドーDSを一日じゅうリビングルームに置いておけば、家族みんなが好きなときに子犬たちと“触れあえる”、そんな遊び方だってできちゃうんです。

『ピクトチャット』『Nintendogs(仮称)』
『ピクトチャット』
(C) 2004 Nintendo
『Nintendogs(仮称)』
(C) 2005 Nintendo

───『Nintendogs(仮称)』は“育成ゲーム”どころか、いわゆる“テレビゲーム”でもない。なのに、ものすごく楽しそうです!

萩島: 人間、過去の経験にもとづいて物事を判断しようとするものですが、ニンテンドーDSではそうはいきませんよ(笑)。

───だからこそ、ニンテンドーDSという商品の魅力を伝えるときも、苦労しますよね(笑)。

萩島: そうなんですよ(笑)。過去に無かったものをお客さんに届けようとするときに、口頭でいくら説明しても、実感として伝わりきらない部分があると思うんです。たとえば、“コーヒー”という飲み物をまったく知らない人に、「ニガいから美味しい飲み物なんですよ」なんて説明しても、「そんなわけないじゃん!」と言われてしまいそうですが、実際に飲んで初めて「あ~、ナルホド、うまい!」と理解してもらえるようなもので(笑)。ですからニンテンドーDSにも、ぜひTouch!していただきたいと思っています。

───任天堂の、これからの課題は何でしょう?

萩島: ニンテンドーDSによってゲームに興味を持ってくれた多くの人たちを失望させることのないように、また一人でも多くの方に「ゲームは自分とは関係の無いものではない」と思っていただけるように、これまでのビデオゲームの枠組みや定義を広げながら、新しく魅力的な遊びをつぎつぎとタイムリーに提案することが、何より重要だと思っています。

───山内溥・前社長の座右の銘、「独創」ですね。

萩島: まさに、その言葉に集約されています。「独創」は、これまでも、これからも変わることはありません!

(注2)「岡田」=任天堂開発技術部部長、岡田智さん。ニンテンドーDS開発を統括。
(注3)「E3」=「Electronic Entertainment Expo」の略。毎年春にアメリカで開催される世界最大のゲームイベント。

ニンテンドーDSとの出逢いは、衝撃だった。
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<目次>
ニンテンドーDSに込めた、強き決意
手応えアリ! ニンテンドーDSのスタートダッシュは絶好調!
任天堂の使命と、その“ライバル”
「独創」──これまでも、これからも変わらない任天堂の課題
ニンテンドーDSとの出逢いは、衝撃だった。
ニンテンドーDSはゲーム機の枠を超えた、まさに“遊び”そのもの!
ゲームで培う、子供とオトナの良き関係
ゲームは子供の教育にもイイ!? 萩島さんも家庭では2児のお父さん
ニンテンドーDSを語りませんか!
アナタの投稿がAll Aboutの“記事”になる! ニンテンドーDSを即進呈!!

 

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