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KID大麻スキャンダル:主催者の対処は?(1)

復帰戦の直前に発表された山本KID徳郁の大麻吸引スキャンダル報道。真偽は不明。主催者は完黙。だが選手管理と情報開示の義務を放置してイベントは本当に守れるのだろうか?

執筆者:井田 英登



8月2日号(7月21日発売)『週刊現代』に、
『激震スクープ 家宅捜索が入った! 所ジョージの「マネージャー」が借りるマンションで 一緒に吸飲した仲間が赤裸々に証言。告発 大麻パーティ 窪塚【洋介・29歳】やっぱり、山本“KID”【徳郁・31歳】も!』
というセンセーショナルな見出しが躍った。

事の真偽はまだ不明だが、当事者の山本“KID”徳郁は、八ヶ月ぶりの復帰戦を前に、怪我を理由に欠場。「DREAM」主催者のFEGも、この事件に関しては沈黙を守り通している。

食品スキャンダルなど、企業の情報開示体勢が問われる事の多い現在、“格闘技試合”を提供するプロモーターの企業防衛のやり方として、“黙殺”は果たしてイベントを守る為の最良の道なのか? これまでの選手スキャンダルの事例も検討しつつ、選手管理の在り方を考えていきたい。




“大同団結”の無理が産んだ迷走。
待望論の渦中、KIDに突然のスキャンダル勃発

合格闘技界の“大同団結”を旗頭に、崩壊した旧PRIDEとそのライバルイベントであったHERO’Sが合体、鳴りもの入りでDREAMが旗揚げして、既に四ヶ月が経った。この間、矢継ぎ早に四回の大会が開催されたが、“PRIDEの夢よもう一度”とばかりにブーム再燃を狙う主催者側の目論見と、ファンの支持率の乖離は著しく、会場にもメディアにも残念ながらかつての勢いは見られない。

それもそのはずで、これまでPRIDEの求心力となっていた豪華なトップスター達は、崩壊のドタバタの間に他団体に流出しており、またPRIDEの強烈な個性となっていた会場演出や煽りVTRも、実質の運営母体がHERO’Sサイド(テレビ中継TBS / 運営FEG)である事もあってトーンダウン。全盛期のPRIDEが「格闘技テーマパーク」を標榜したようなバイタリティやエネルギー感は、まったく感じられないからだ。

選手の多彩さだけが空転する残念な舞台

イベントの運営の現状を見る限り、マッチメイクにせよ、会場の演出にせよ、二大スーパーイベントの合体は、お互いのプラス部分を伸ばし合う“合従連衡”になっているようには思えない。むしろ、TV演出やマッチメイクの噛み合わなさを見る限り、旧PRIDE側とHERO’S側には思惑の違いが多々あるようで、相互にこれまでの既得権を維持する為の“呉越同舟”的牽制合戦が顔をのぞかせる。しばしば大企業の合併でなどでも、旧派閥の権力争いが露呈して、お互いの良さを消し合い、顧客にデメリットばかりを与えるケースがあるが、今回の『大連立』も結局その弊に陥ってしまっているのか、肝心のファンのニーズを置き去りにしてしまっているような部分が多々見られる。

現在も各階級のトーナメントが進行中だが、その王者の位置づけがこれまでの二つのリングで築いて来たものを受け継ぐのか、それともまったくリセットする目的なのかが曖昧で、イマイチ競技としても追求する“頂点”の在処が明快ではない。またイベントとしてもファンが思い入れできるような“世界観”――例えば旧PRIDE時代のような「人類60億分の1の最強者」といったキャッチフレーズ――が確立されているとは言い難いため、ただハコの大きさ、選手の多彩さだけが空転する「残念な」舞台となってしまっている感がある。

 当然“新しいイベント”である以上、“産みの苦しみ”はつきまとうものだが、死命線を握る地上波の中継視聴率も10%前後と低迷しており、なかなか打開点が見えてこない。このままファンの温度が下がり続ける状況が続けば、自然消滅的にテレビの中継も終わってしまってもおかしくない。


(2) 「DREAM」視聴率低迷の最終兵器、山本“KID”徳郁に続く
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