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ジョー・トーリ監督に学ぶ選手掌握術

ヤンキース監督としての12年間で12年連続プレーオフへ進み、4度の世界一に輝いたトーリ監督。その選手掌握術は一般の社会(会社)でも応用できる。同時にこの指揮官が最も好む選手(部下)とは、にも触れたい。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

67歳にして夢を叶えたジョー・トーリ

覇者の条件―組織を成功に導く12のグラウンド・ルール
『覇者の条件―組織を成功に導く12のグラウンド・ルール』¥1,785(税込) トーリのマネジメント論は、野球だけでなく一般の会社でも応用できる
ジョー・トーリが今季2008年からドジャースの指揮を執る。ヤンキースのピンストライプからドジャーブルーへ。東海岸のニューヨークと西海岸のロサンゼルスとでは、気候はもちろん、ファンの気質が大きく違うが、本人はかなり満足している。ドジャースはトーリが学生時代まで地元ブルックリンを本拠地としていたために、昔から大ファンだった。67歳にして“夢”が叶ったといえるのだ。

そのニューヨーク州ブルックリンで生まれ育ったトーリは、1960年にミルウォーキー・ブレーブス(現アトランタ・ブレーブス)でメジャーデビューを果たして以来、カージナルス、メッツなどで捕手、一塁手、三塁手として活躍。71年には首位打者、打点王、MVPにも輝き、選手生活18年間で通算打率.297、252本塁打、1185打点、2342安打を残した。

監督としては77年、37歳の時にニューヨーク・メッツのプレーイング・マネジャーとして指揮を執り始め、ブレーブス、カージナルス、ヤンキースと渡り歩き、通算2067勝1780敗の勝率.538。メジャーリーグでは、選手として2000本安打、監督として2000勝以上を達成したのはトーリしかいない。

選手を褒めるも叱るも、監督室での1対1

このトーリが名将と呼ばれるようになったのは、ヤンキースの監督に就任してからだ。96年にヤンキースを18年ぶりにワールドシリーズに導き優勝、98年から00年にかけてワールドシリーズ3連覇。実に12年連続でプレーオフ進出を果たした。選手をうまく使っての偉業であるのは間違いないが、この裏にはトーリ独特の選手掌握術が隠されているのだ。

最も顕著なのは、徹底した対話主義をとることである。たとえば、選手をみんなの前で決して褒めたりしない。同様に選手を決して怒ったりしない。メジャーリーガーは誰もがプライドの高い個人事業主だ。褒められた人間を見ると「何だあいつは!」となり、人前で怒られてはプライドがとても傷つく。この心的傾向をよくわかっているトーリは、選手を褒めるのも叱るのも相談に乗るのも監督室での1対1だ。

>>3度の解雇。しかし、辛抱強く機会を待つ>>
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