アンデスに咲く天空の都 マチュピチュ
世界中を旅して、世界中の旅人と話してきた。たとえば、ホテルのレストランやロビーやダイニングで旅人同士が集まれば、自然と「いままでで一番よかった場所はどこ?」なんて話になる。いろいろな場所が登場するのだが、ダントツで支持を得る遺跡が世界に3つある。ギザのピラミッド、アンコール、マチュピチュだ。
どこの国の人間であろうと、知識があろうとなかろうと、いつ訪れようと、けっして評価が変わらぬこれら3つの遺跡。ここではその中でも「美」にかけてつねに最高評価を得るマチュピチュの魅力を紹介しよう。
世界遺産の宝庫、プレ・インカとインカ文明
マチュピチュ(年老いた峰)。正面の山がワイナピチュ(若い峰)。下にはウルバンバ川が流れており、やがてアマゾン川に合流する ©牧哲雄
聖なる石インティワタナ。角は東西南北を指しており、暦を定め、日時計としても使われたらしい ©牧哲雄
アンデス周辺には、紀元前2,000年頃から数々の文化が成立していた。これらをまとめて「プレ・インカ時代」と呼んでいるが、文字を持たない文化であったために、口伝えの伝承以外に記録は残っておらず、非常に謎が多い文化群でもある。
文字は持たなかったものの、その文化レベルは非常に高い。たとえば脳外科手術やナスカの地上絵、剃刀が入る隙間もないという石組み、これらもプレ・インカが生み出した技術だ。具体的にはチャビン、ナスカ、ティワナク、チムーなどの文化があるが、それぞれ「チャビン遺跡」「ナスカとフマナ平原の地上絵」「ティワナク」「チャンチャン遺跡地帯」として世界遺産登録されている。
プレ・インカ文化をまとめて統一し、13世紀にチリからエクアドルに至る大帝国を築いたのがインカ帝国だ。伝説によると初代皇帝マンコ・カパックは太陽神インティの子孫(アンデスに文明をもたらした謎の創造主ビラコチャの子孫という説もある)で、神として帝国を統治するものである。