サルト 水落卓宏氏のこと
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| サローネ オンダータ サルト 水落卓宏氏。「型紙の線1本1本がその人のためだけの線なのです。とうぜん採寸から完成まで、いつもお客様のことを考えて作業しています」 |
「サローネ オンダータ」の店内は柔らかな光に包まれていて、とても気持ちがいい。
扉を入ってすぐ右手にバーサロン。奥には美しいステンドグラスの壁があり、そこが工房になっている。
ガラス越しに少しだけ、
サルト 水落卓宏(みずおちたかひろ)氏の作業風景を見ることができる。サルトとはイタリア語で
仕立て職人のこと。
水落氏は滝沢氏と同じ学校を卒業した後輩にあたると同時に、同校の職員だった滝沢氏とは先生と生徒の関係でもある。
多くの卒業生がアパレルのデザイナーを目指すなか、彼はパタンナーを目指した。スーツを作るうえで、型紙の大切さがわかっていたからだ。
ニコルでパタンナーとして2年半勤めた後、紳士服をさらに本格的に学ぶために銀座の老舗、
壹番館洋服店でテーラーとして約10年間修行する。
壹番館ほど大きな店舗になると、
カッターと
テーラーに分かれて、分業してスーツを仕立てていく。
ここで簡単にカッターとテーラーの違いを述べておくと、カッターというのはお客様の
採寸、型紙作り、生地の裁断、補正まで行い、いうなれば表舞台に立つ仕事だ。
一方のテーラーは縫製師のことで、カッターから受け取ったお客様の採寸データをもとにイメージを膨らませて縫う人である。
水落氏は壹番館での修行時代、針仕事のいろはから徹底して覚えたという。当初は残布にボタンホールを300個も500個も作り、日々精進したそうである。
もっと昔のテーラーはボタンホールの上下の糸のピッチ(運針の間隔)がぴったりと揃ってないといけなかったとか。
手先の器用さにかけては日本のテーラーは昔から凄かったのだ。
尽きることのない探究心
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| ステンドグラスの隙間から水落氏の作業風景を見ることができる。ごらんのように店内は落ち着いた雰囲気が漂っている。 |
その後、彼は自ら理想とする1930年代のクラシックなスーツスタイルを独学で学び始める。独学といっても壹番館で働きながらだから大変である。
当時の
サビル・ロウのテーラーの裁断書を苦労して探したり、古着をばらしたり、写真集や映画などを見て熱心に研究したそうだ。
まず自分のスーツを作ってみる。着てみるとかならず課題が見つかり、解決方法を探す。これを日々繰り返すのである。
朝早く工場(当時はアトリエのようなところがあった)に出向き、夜遅くまで研究する。帰宅後もさらに作業を続けたのだ。
彼はまたディテールひとつにも疑問を抱いたという。「フラワーホールにしても、
上衿のヒゲにしてもなぜこの位置にあるのか、なぜこのような形状になっているのか。そんなことばかり考えていました。
もちろんカッティングやテーラリングのすべてに理由が存在します。あまく縫うべき箇所や、しっかり縫わなければならない箇所などがあり、それらを理解したうえで、技術を習得していきました」
この頃になるとクラシコ・イタリアブームになり、
ナポリから手縫いのスーツが日本に輸入されるようになり、直接その卓越した技術に触れる機会にも恵まれた。
また、
ペコラ銀座の佐藤英明氏のところに行ってテーラリングの話を聞いたりしたそうだ。
当時、壹番館の後輩には、サビル・ロウの老舗ギーヴス&ホークスから帰国した
有田一成氏(テーラー&カッター)や、
近藤卓也氏(Vick tailor)がいた。
水落氏も彼らもそうだが、カッターの仕事、テーラーの仕事、素材の知識、スタイルの知識、ディテールの知識など、複合的に兼ね備えた、数少ない仕立て職人なのだ。
【
サローネ オンダータ】
http://www.style-creations.jp/salone/ondata/index.htm東京都中央区銀座7丁目8-17 虎屋銀座ハイツ8F
TEL 03-3569-3962
●クロージングサロン
営業時間 12:00~20:00
定休日 月曜
※ビスポークの場合土・日・祝祭日は要予約
(ス・ミズーラは予約不要)
●バーサロン
営業時間 15:00~23:00
定休日 月曜、日曜、祝祭日
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